TJピックアップと題して、過去の「Taxi Japan」より、読者の皆さまの反響の大きかった記事を振り返ります。
シリーズ①、いよいよ新人タクシードライバー丸ちゃんの「丸ちゃん奮闘記」が始まります。
タクシードライバーデビューして半年が過ぎ、緊張せずにお客様のリクエストに応対出来るように。地理にはまだまだ自信がないけれど、営業収益がどんどん増えてきた丸ちゃん。この回では、元カリスマドライバー関 隆氏の講評に注目です。
タクシードライバーに興味はあるけれど迷っている人、現在タクシードライバーになったばかりで奮闘している人にぜひ読んでいただきたい、リアルな奮闘記です。(最後にカリスマドライバー関隆氏の講評あり)
転職したタクシー会社では、先輩乗務員から、丸ちゃん、の愛称で親しみを込めて可愛がられている。丸ちゃんは、新潟市内で2歳から高校までを過ごし、群馬県下の大学を卒業後、新潟市内の印刷会社に就職した。その後、印刷会社の東京支店で営業職として勤務。しかし、印刷業界の不況は深刻で深夜までの残業が常態化していたこととサービス残業による低賃金で転職を決意。知己の紹介で飛び込んだタクシー乗務員の職業。
初めてのことばかりながら、前職に比べてやりがいや収入面で大きな夢と希望が膨らんでいるという。
− 丸ちゃん奮闘記 第1回 −
2月度の税抜き営収56万3950円(13乗務)、1乗務平均 4万3381円
転職から半年余りが経過
印刷会社を退職し、昨年9月1日に都内江戸川区にある関東自動車交通に、タクシー乗務員として転職してから半年余りが経過しました。
普通第二種免許の取得や東京タクシーセンターでの地理試験や研修などを経て、10月末に新人タクシー乗務員としてデビューしました。最初のうちは地理知識も不十分で、お客様から知らない地名を告げられると、目的地までスムーズに辿り着けるかと緊張感でいっぱいになっていましたが、最近は、地理知識も少しずつ増えてきて、徐々にお客様のリクエストにもスムーズに応対できるようになってきました。しかし、それでも営業テリトリーである東京都特別区・武三交通圏は想像以上に広大であり、かつ道路が複雑に交錯していて、まだまだ地理知識は十分というには程遠い状況です。
営収は右肩上がり
私の新人乗務員として開始当初からの営業収入の推移をみると、当初の10月末から11月10日までの日勤勤務の時を除くと、税抜きで11月度(11月11日~12月10日まで) が12乗務で39万6030円(1乗務平均3万3003円)、12月度(~翌1月10日まで)が13乗務で54万8470円(平均4万2190円)、1月度(~2月10日) が12乗務で42万9380円(平均3万5782円)、そして直近の2月度が13乗務で56万3950円(平均4万3381円)でした。
2月度は、13乗務目が16時間の乗務となり、稼ぎ時の深夜0時には帰庫しなければなりませんでした。そのため営収も2万5000円にとどまりました。それでも月間営収額、平均営収額ともに自己最高を記録することが出来たのは良かったと思っています。とにかく自己最高の更新を続けて、右肩上がりで目標に向けて努力していきたいと思っています。
荒川区町屋までのお客様
先ほど地理知識に触れましたが、先日、新宿から荒川区の町屋までというお客様をお乗せしました。東京の下町である荒川区町屋は何度も行ったことのある場所でしたが、新宿からどういうルートを通って行くのが最短なのか、即座に私には分かりませんでした。よく知っている場所と場所とを結ぶルートなのですが、道路が複数あり、最適な経路が分からないというケースでした。
そのお客様は、新宿から荒川区町屋までタクシーをよく使われるようで、乗車しながらルート案内をしていただくことになりました。
お客様の指示で、大久保通り~諏訪通り~明治通り~学習院下から不忍通り~尾竹橋通りと経由して町屋に到着しました。知っている通りばかりでも、それをうまく繋ぐと目的地まで最短ルートで行けるということは、実際に走行してみないと思いつかないものでした。
その後、新宿から文京区の護国寺までというお客様をお乗せしました。以前なら、どういうルートを通ろうか悩んだかも知れませんが、町屋までお乗せしたお客様の経路付近に護国寺があったため、迷うことなくお送りすることができました。「タクシー乗務員の地理知識って、こうやって増えていくんだな」と、思いました。
関 隆氏(タクシーデータサービス株式会社シニアアドバイザー)の講評
丸ちゃんの一番良いところは努力を惜しまないところだと思います。それもガムシャラというのではなく、工夫をして自分を磨こうとしているところです。それは初乗務から一度も休まずに勤務し、さらに私が主宰する流し方ゼミナールに参加、先輩乗務員からアドバイスをもらって自分流にアレンジ、工夫して乗務に活かしているところからも分かります。
ちなみに3月度の途中経過では、日車営収の平均が5万1000円を超えているとのこと。タクシー乗務はマラソンのようなもので、1乗務だけ、月度の前半だけ良くても成果にはなりません。3月度を〆て、どういう結果になるのか、私も今から楽しみにしています。
次回「丸ちゃん奮闘記 第二回」では、タクシードライバーとして右肩上がりの営業収益を出すようになった丸ちゃん。そのうまくいった理由を分析します。元カリスマドライバー関 隆氏による講評にも注目です。