国際自動車グループの2020年3月期決算公告によると、直営タクシー10社(都内9社および神奈川県横浜1社の計2187台)とハイヤー2社(計493台)の総売上は475億700万円だった。
これらハイヤー・タクシー12社の損益状況は、5社が黒字で合計8億500万円の純利益、7社が赤字で合計5億8700万円の純損失。損益相殺勘定によるハイヤー・タクシー事業の純利益は2億1800万円となっている。
内訳では、都内タクシー9社うち6社が赤字で、合計の損失が5億7200万円だった一方で、国際ハイヤーが6億4200万円の純利益を計上した。
ハイヤー頼みの経営
国際自動車グループ一番の稼ぎ頭は国際ハイヤーで、425台のハイヤーおよび自家用運行管理事業で101億6500万円を売り上げ、6億4200万円の純利益をあげている。。一方、タクシー10社の売上は、合計368億3700万円で、4社が黒字で6社が赤字。赤字額の合計は5億720万円となっている。国際自動車のハイヤー・タクシー事業における経営収支は、ハイヤー部門が支えている格好となっている。
さらに、貸切バス174台と乗合バス8台を保有するケイエム観光バスは、36億200万円の売り上げで4600万円の赤字で、さらに不動産賃貸やリース、駐車場やビルメンテナンスなどの関連事業を含めた5社合算の純利益は3億5600万円となっている。ハイヤー・タクシー事業の純利益2億1800万円と合算した、事業会社17社の2020年3月期決算における純利益は5億7400万円となっている。
今回の決算公告は3月末ということで新型コロナウイルス禍の影響は限定的といえるが、その後の4月と5月の緊急事態宣言発令下における外出自粛や企業のテレワークによってハイヤー・タクシー事業の需要が激減した結果、国際自動車グループではこの2カ月間で25億円余りの営業赤字に陥るという実態が浮上している。この営業赤字は、不動産賃貸管理やその他の事業を合算しても穴埋めできないほどの厳しい状況に直面しているといえ、新型コロナウイルス禍による経営環境の激変に対応した、思い切った経営刷新策が求められていることを3月期決算公告が物語っている。
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