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論風一陣 乗務員不足総点検対策本部を設置せよ!(Taxi Japan 437号より)

タクシージャパン437号

川鍋会長全国ハイヤー・タクシー連合会(川鍋一朗会長)は6月26日、都内千代田区の「経団連会館」で第116回通常総会を開催したが、注目された川鍋会長が乗務員不足の解消策として提起した「配車に限った期間限定による一種免許でのタクシー乗務」について詳細な言及はなされなかった。

冒頭あいさつに立った川鍋会長は、「乗務員不足の再点検を行い、皆さんと徹底して議論したいと思っている。コロナ禍前の供給力に回復するまでの間は、我々の最大のテーマは供給力の回復だ。我々には供給責任がある」とした上で、「(労働者不足はタクシーだけのことではなく)全産業で同じであり、減っていく労働人口の奪い合いになっていく」などと訴え、全都道府県において毎月、コロナ禍前と比較した乗務員数のデータを集計していく考えを示した。

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一方で、自身が提起した一種免許でのタクシー乗務構想については、「拙速に進めようとし過ぎた」としながら、「賛否があり、ライドシェアに道を開く可能性もあるドラスティックな案だが、リスクに対するリターンは高い。課題を真正面から捉えて全員で議論していきたい」などとして、詳細な具体論への言及は避けた格好だ。

乗務員不足によるタクシーの供給不足の現状は、川鍋会長の提案はともかく、社会問題化しかねない深刻な実態なのは事実である。従って川鍋会長も言及しているように、まずは実態を把握し、そして当面の目標としてコロナ禍前の水準まで乗務員数を回復する、そのためにどのような取り組みが求められているのかを、「徹底的に議論」すべきであろう。

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筆者は、視力低下に伴う三悍法(さんかんほう)による深視力検査で不合格になるまで普通二種免許を保持していたが、その間、旅客運送に二種免許が果たして必須の資格なのかを疑問に思い続けてきた。そのため、川鍋会長の一種免許でのタクシー乗務の提案そのものには違和感は覚えず、同感というタクシー事業者も相当数、存在するように思えるのである。

問題は、提案の仕方が本人も認めるように「拙速」で「唐突」だったということ。繰り返し声を大にしてきた「白タク・ライドシェア阻止」と「ライドシェアに道を開きかねない」との言行不一致の成り行きでは、批判や反発が強く出てくるのは故なしとしない。そこで、川鍋会長自身も再選あいさつで、「乗務員不足が最大の課題。それを全タク連とともに会員すべてが自身の問題として受け止めて総点検し、徹底議論を交わしたのちに対応策を実行に移していく」などと語っている。

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一種免許でのタクシー乗務を論議する前に取り組むべき課題は山積しているはずだ。全タク連の中に「乗務員不足総点検対策本部」(仮称)を設置し、川鍋会長自らが本部長に就任し、全国の乗務員不足解消に向けて率先垂範し、先頭に立って必要な施策を打ち出して有言実行することを求めたい。全国業界のために、まず、隗より始めよ!

(高橋正信)


次回Taxi Japan 438号 をお楽しみに!

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