今年の元旦は、昨年の能登半島地震のような大きな自然災害などもなく、東京では好天に恵まれた穏やかな正月三が日となった。昭和生まれの筆者としては、今年は、昭和100年という記念すべき年となり、大正生まれのタクシーは、生誕113年目となる。
令和5年2月10日付け本欄で、「予感させる日本交通G による一強時代!」の見出し記事を掲載、「日本交通の一強時代がもうそこまできていると感じた」と結んでいることに言及したい。その答えは、交通資料社が出版している東京都特別区・武三地区における法人各社別の輸送実績表に具体的な数値を伴って明らかとなっている。
昨年10月の同実績表を見ると、認可タクシー1台当たりの日車営収ランクにおいて上位30社中24社が日本交通グループで、その内訳は直営23社と業務提携のフランチャイジー(FC)1社である。さらに上位50社では、日本交通Gが33社で、うち直営が27社でFC6社。上位100社では、44社の中で直営27社とFC17社となっている。日本交通の直営27社全社が上位50社に名を連ねている。
しかも、これら27社の輸送実績は、認可タクシー1台当たりの日車営収が7万3152円〜5万7587円、稼働平均では8万7875円〜6万5526円、稼働率は97.9%〜62.8%。概ね認可台数平均の日車営収が6万円台で、稼働平均の日車営収は6万円後半〜7万円台、稼働率は多くが80%後半〜90%台を維持して、特別区・三地区の平均的数値を大幅に上回る、ライバルのいない断トツの実態だ。
これらの数値から明らなのは、日本交通直轄27社の輸送実績が他を圧倒する高水準であることで、日本交通であれば、いま所属している会社より稼げる可能性が高いと、労働者の大移動が発生しかねない可能性を孕んでいる。そうなれば日本交通Gによる寡占化が、さらに進むことが容易に想像できる。
コロナ禍の収束に伴うように沸き上がったライドシェア解禁を求める拙速な動きが、地方創生を訴える石破茂政権の誕生で一気に隅に追いやられ、ホッと胸をなでおろす向きもあろう。が、一連の外部環境の変化に目を奪われていた中で、タクシー業界内部では、ライバル不在で日本交通Gの一人勝ちの構図がさらに強固に拡大、盤石の基盤を確立していたといえる。
昭和100年。東京大手四社がタクシー業界を牛耳っていた構図はすでに過去のものとなっており、日本交通オーナーで配車アプリGOの会長、さらに東タク協会長と全タク連会長を兼務する川鍋一朗氏が、リーダーシップを振るって新しい時代のタクシー業界秩序を再編していくのであろう。“曰く昭和は遠くになりにけり”である。
(高橋 正信)
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