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論風一陣 全タク連の1丁目一番地を放置するな!(Taxi Japan 473号より)

川鍋会長

全国ハイヤー・タクシー連合会(川鍋一朗会長)は1月23日、都内千代田区大手町の「経団連会館」で恒例の新年賀詞交歓会を開催した。その前段の第37回常任理事会の冒頭、川鍋会長は「いまのところ政治は、小康状態を保ている。けれどもいつ何がおこるか分からない。何か起こる時は、我々が緩んだ時、改革の手を止めた時に起こる」と述べ、地方創生を掲げる石破政権の誕生によってライドシェア全面解禁の旋風が小康状態であるとの認識を示すと共に、タクシー事業の改善・改革の継続的な推進を訴えた。

常任理事会での演壇横には、「タクシー業界が利用者起点で『国民の移動の足の確保』を全力で推進する中、公共交通を破壊するライドシェア新法は不要!」とのスローガンが掲出されていたが、ライドシェア全面解禁のカウントダウン前夜を思わす昨年来の緊迫感は無く、一変して、暫しの安泰ムードに包まれた全タク連の事始めだった。

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川鍋会長の訴える「手を止めてはならない改革」についての具体例への言及は無かったが、筆者は、タクシー事業の改善・改革を論議する前に、まず、タクシー事業における共通利益を図る全国の事業者団体である全タク連の現在地を、再確認する必要があるのではないか、と思っている。

それは、これまでも主張してきている配車アプリGOと全タク連との関係性である。GOの顧客が全タク連傘下のタクシー事業者であり、一方のGOの共同筆頭株主で代表取締役会長が全タク連会長と同一人物であるということを放置し続けていることは、やはり常軌を逸した現実である。12月10日付の本欄では、「コンプラ欠如と企業統治の欠陥認める!」との見出し記事で、配車アプリGOの利益相反行為と企業統治の問題点を提起した。配車アプリGOは既に、島根県を除く全国46都道府県でタクシー10万台超と契約しているとされ、全法人タクシー約17万3000台の実に60%超えで寡占化を進めている。

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他の配車アプリに比べて圧倒的な配車実績を誇るGOは、タクシー事業者に対する配車手数料について、優越な立場から値上げ交渉が出来る状況にある。仮に、GOの設定した配車手数料やその他の経費がタクシー事業の安定経営を脅かす次第が発生した場合、全タク連で対策を協議していくことになる。その際、GOと全タク連の代表を兼ねる川鍋氏の存在そのものが利益相反の関係になり得ることは想像に難くないはずだ。

全タク連として、GOによるアプリ配車の寡占状態が、私的独占禁止及び公正取引の確保に関する法律(独占禁止法)に抵触する行為を誘発していないか、チェックや情報収集を行い、タクシー業者への不利益な扱いがある場合には毅然とした対抗措置を講じなければならない。全タク連の1丁目一番地を放置したままでは、対抗措置を協議することすら覚束ないだろう。

(高橋 正信)


次回Taxi Japan 474号 をお楽しみに!

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