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論風一陣 運賃の算定方式&制度を同時に見直せ!(Taxi Japan 474号より)

JR東海、JR西日本、JR九州のJR3社はこのほど、4月から東海道・山陽・九州新幹線の運賃・料金を一部改定すると発表した。

内容は、JR九州が運賃を平均15%値上げするほか、JR東海とJR西日本では、京都I西明石間をネット予約用のスマートEXサービスで「のぞみ・みずほ」の普通車指定席を買う場合、4140円から4160円に値上げし、逆に、京都I姫路間を5600円から5500円に値下げするなど、運賃の上げ下げで3種類に分かれていた京阪神エリアの運賃体系を統一する、としている。今回の改定は、国土交通省が昨春に、「鉄道運賃水準の算定の根拠となる『総括原価』の算定方式を見直した」ことに伴うものだ。

従来の総括原価算定方式は、必要な経費に適正な利益を上乗せした金額を超えない範囲で設定されてきたが、今回の平成9年以来27年ぶりの見直しでは、次の3項目が加えられている。①持続可能な鉄道輸送サービスに資する設備投資の促進(減価償却費等の算定方法の改善)②人材確保(人件費の算定方法の改善)③災害からの復旧(修繕費用の取り扱いの改善)Iの3つだ。

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翻ってタクシー運賃に対する総括原価算定方式の見直しについては目下、国土交通省内で検討が進められている。鉄道運賃同様にタクシー運賃に対しても、カーボンニュートラル(CN)やデジタルトランスフォーメーション(DX)における設備投資への対応が求められているほか、特に、人材確保に関する相当の経費が算定に加えられてしかるべきであろう。その意味では、タクシー運賃の査定方式見直しについても、鉄道への見直し範囲は最低条件といえる。その際に、同じ公共交通機関といえども国民の移動の幹線部分を担う鉄道事業と、その先のラストワンマイルや高齢者の通院や買い物を担うタクシー事業とのあり様が根本的に異なっている。

そうした中で、タクシーの場合、運賃を単に上げればいいとはいえない。東京都特別区・武三地区のタクシー運賃は、初乗り1.096メートル500円だが、それと比較して、例えば青森地区では、1キロ640〜670円と高額。高齢化と人口流出に歯止めが掛からない地方都市も多く、大都市と地方都市の地域間格差が拡大する中で、多くの地方都市では、タクシーが、地元住民が生活移動に気軽に使える金額でなくなりつつある現実がある。

査定方式とともに、利用実態に応じて時間帯や場所、利用形態などによる運賃額を変動させるダイナミックプライシングを一部導入するなど、運賃制度全般のあり方について、地方自治体も交えて住民の生活移動の足確保を前提とした利用負担軽減の観点からの見直しも同時並行で求めたい。

(高橋 正信)


次回Taxi Japan 475号 をお楽しみに!

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