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論風一陣 他人事、無反省の不遜な企業体質に喝!(Taxi Japan 481号より)

本紙前号の巻頭特集「公取委配車アプリ実態調査で波紋」で、配車アプリ最大手GOの実態調査に対するコメントを掲載した。改めて再読願いたい。

公取委の実態調査は、配車アプリ市場における独占・寡占により「利用者との取引において交渉上優位な立場になり得る」という独占禁止法上問題となる恐れがあることから実施された。主要配車アプリ事業者5社を対象に実施された結果、留意すべき具体的な提言6項目は、名指しこそされていないものの、最大手のGOに向けたものとみるのが自然だ。これに対するGOのコメントの概要は次の通りである。

1 タクシー業界の声、また、利用者や地域の声を集め、さらなる健全な関係の構築に努めている。

2 タクシー事業者の健全な営業活動の支援についても最大限を目指して各種取り組みを進めており、タクシー事業者に対して恣意的に有利または不利な取り扱いを行うことはない。

3 お客様の利便向上を掲げながらも、タクシー事業者への様々な影響をより慎重に見極め、公平性と透明性をもって適切な説明と施策提供を行っていくことが重要だと認識している。

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このコメントは、公取委が6カ月間の調査期間を要してまとめた提言6項目の意味を意図的に無視して、他人事、きれい事の文言で、あくまで提言を受ける当事者にあらずの立ち位置に終始。自らのこれまでの振舞いを省みた一片の反省すらみられないのは、如何なものであろうか。

GOの企業コンプライアンスの問題点については、本紙令和6年11月30日付の本欄で「上から目線の無責任なGOはストップ!」、同12月10日付「コンプラ欠如と企業統治の欠陥認める!」と、GOが広告を出稿している一部WEBメデイアに対して、ライドシェア関連の記事を掲載した場合に広告掲載を強制的に解除することを一方的に通知していたことを取り上げて、広告出稿という優越的な地位を利用しての報道の自由を強制的に制約しようという行為を厳しく論断するとともに、GOのコンプラ欠如と企業統治の欠陥を問うた。今回の公取委の実態調査に対するGOのコメントを読み返しても、コンプラ欠如や企業統治の欠陥に対する問題意識が皆無なのは、看過できない。

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コメントでは、「移動で人を幸せに」のミッションを示して、「全方よし」の価値観があることを記して締め括っている。ちなみに同社の大株主である日本交通ホールディングス傘下の日本交通の社是は「徳を残そう」である。今回の公取委の提言は、配車アプリ会社の独占・寡占による優越的な立場からの独禁法抵触の恐れが指摘されている。場合によっては、「全方よし」ではなく「GOのみよし」となり、「徳を残そう」ではなく、GOの「得(利益)を残そう」ということになり得るとの警鐘が鳴らされていると、GO自身が受け止めなければならないはずだ。

(高橋 正信)


次回Taxi Japan 482号 をお楽しみに!

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