論風一陣 個人タクの減衰は原点回帰で歯止めを!(Taxi Japan 397号より)

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政個人タクシー事業者の大幅な減少に歯止めがかからず、このまま推移するとその存在意義を喪失しかねない深刻な状況となっている。

東京都個人タクシー協会が9月14日に開催した理事会で、都内個人タクシー事業者数の激減よる会費収入減少に伴う協会事業の見直しについて報告された。それによると、都個協会費の見直しを踏まえた今後10年の収支見込み試算表が示され、これまでの会員事業者数の減少実態と今後の見通しをシミュレーションしている。

2010(平成22)年度に1万6882事業者いた都個協加入の個人タクシー事業者数は、それから10年後の2020(令和2)年度には1万1104事業者と、5778事業者も減少、この10年で約65.8%と3分の2となっている。さらに現在の減少率(マイナス4.7%)がこのまま続くと、10年後には6539事業者となり、かつては1万9000事業者を超えて存在していた都内の個人タクシが、10年後には最盛期の3分の1にまで縮小するというのがシミュレーション結果だ。

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この深刻な状況に対して都個協では、「準特定地域における個人タクシーの適正化車両数明示について」とする要望案を作成。2009(平成21)年に施行されたタクシー特措法(その後の改正タクシー特措法)に関して、①準特定地域において法人タクシーに公示されている適正車両数が個人タクシーには明示されていない②個人タクシーの適正車両数を明示することを要望③その上で増加可能の車両数が公示された場合、現状停止している新規許可を再開するなどを国土交通省に求めていくという。

この要望案で論拠としているタクシー特措法にもとづく特定地域や準特定地域では、個人タクシーの新規許可も法人と同様にストップしている。法人タクシーは新規許可・増車がストップしても現状維持だが、1人1車の個人タクシーは新規許可がストップすると減少するという特性がある。

そうした一方で、国交省は、ライドシェア否定の理由として「運行管理や車両整備管理などの運送責任を運転者個人が担う形態を前提としており、輸送の安全確保等の問題があるため認めるわけにはいかない」と主張しているが、ライドシェア導入推進派の中からは「個人が運送責任を負うという形態なら個人タクシーが認められており、矛盾する」などと反論されている状況だ。

このところ相次いだ都内個人タクシー事業者による無免許運転や酒気帯び運転などに代表される不祥事は、ライドシェアとの対比で「自己管理ができる優良運転者のみである個人タクシーは別」を大義名分としている国交省にとっては「獅子身中の虫」だ。個人タクシー業界は、誕生から今日まで果たしてきた役割を振り返り、原点回帰の中で新たな個人タクシー像とその存在意義を自らが創出していかなければならない、そういう時期に来ているのではないか。

(高橋 正信)

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次回Taxi Japan 398号 をお楽しみに!

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