論風一陣 コロナ禍で減少した乗務員確保が急務!(Taxi Japan 400号より)

1594

東京タクシーセンター(渡辺佳英会長)がこのほどまとめた、10月末における東京都特別区・武三地区おける法人タクシーの年齢別登録運転者数・運転者証交付数の一覧表によると、日本一のタクシー市場である東京都特別区・武三においても新型コロナウイルス禍によって乗務員が大幅に減少していることが明らかとなっている。  

具体的には、今年10月末の登録運転者数は6万6074人で、運転者証交付数は5万1543だった。コロナ禍前の令和元年度における登録運転者数7万0679人と比較すると4605人、運転者証交付数5万8257に対しては6714と、それぞれ大幅に減少しており、コロナ禍の影響による都内タクシー業界からの離職者の多さを表している。

TOPページはこちら

乗務員の平均年齢については、平成年度の58.6歳をピークに低下傾向となり、新卒乗務員の採用などによる若返りの効果を示し、令和元年度には57.9歳にまで下がった。しかし、10月末時点では一転して58.1歳となっており、コロナ禍の中で都内でも乗務員の平均年齢が上がることになった。  

これらの数値から推定できることは、50代ぐらいまでの働き盛りの乗務員が、新型コロナ禍の中で長期化するタクシー需要減と、それによる大幅な収入減から「より稼げる職種への転身」によるタクシー業界からの退出が進んでしまったということだ。一方で、乗務員全体の3分の1強(34.2%)、1万7636人が在籍している年金併用者の多い65歳以上の高齢乗務員についても、コロナ感染リスクの高さから休業して雇用調整助成金を受給しているなどの実態が読み取れる。

TOPページはこちら 

新型コロナウイルスの感染状況は、このところ全国でも1日100人台にとどまり、イギリスなど海外における感染再拡大のニュースはありながらも、国内では一応の終息状況にあるとみていいのではないか。11月に入ってからは、全国各地の観光地や都市の飲食店などにも人出と賑わいが戻って来ている状況だ。

タクシー業界も、地域によってはコロナ禍前の水準に近いところにまで日車営収が戻ってきているところも出て来ている。2年近い長期に及ぶ新型コロナウイルス禍を耐え忍んだその先には、膨張した借入金や先送りしている公租公課など傷ついた財務体質の修復だけでなく、深夜長距離客の減少やアプリ配車の拡大などのタクシー需要の構造変化への対応など、アフターコロナに向けた様々な取り組みが待ち受けている。その中でも一丁目一番地は、コロナ禍の中でタクシー業界から離職してしまった働き盛りの労働者の補充だ。失われた2年にピリオドを打ち、すみやかに反転攻勢に向けた備えを進める必要がある。

(高橋 正信)

TOPページはこちら


次回Taxi Japan 401号 をお楽しみに!

Taxi Japan公式サイトバナー

Taxi Japan最新号は公式サイトでご覧いただけます。

日本タクシー新聞社の発行する、タクシー専門情報誌「タクシージャパン」は毎月10・25日発行。業界の人が本当に求めている価値ある情報をお届けするおもしろくてちょっとユニークな専門紙です。