論風一陣 さあアフターコロナだ!タク復旧本番へ(Taxi Japan 402号より)

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19都道府県に発出されていた緊急事態宣言と8県のまん延防止等重点措置が9月30日で解除されて以来2カ月余、新型コロナウイルスの感染拡大は沈静化している。一般マスコミの報道では、新型変異株オミクロンの国内流入、感染拡大第6波への懸念が報じられているが、反面、国民の7割以上がコロナワクチンを2回接種し、3回目の接種も視野に入っている。世界的には感染拡大が一進一退を繰り返して収束にメドが立たない状況だが、そうした中で日本国内の沈静化は対極的と言える。

筆者としてはアフターコロナを宣言したいが、その前に、コロナ禍の経過と首都東京のタクシー営業の実態を振り返り、事業復旧に向けた現在の立ち位置と当面の目標を確認したい。

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2019年に中国・武漢で発生し、その後、世界規模で感染が拡大。国内には2020年2月に大型クルーズ船ダイヤモンドプリンセス号における乗員・乗客の集団感染が大きく報じられ、この時期に全国各地で感染が拡がった。

東京都特別区・武三地区のタクシーにおける実働日車営収は、2020年1月までは概ね対前年実績を上回って推移。2月には前年同月比6.06%減(4万5473円)に転じた。さらに、政府が東京2020オリ・パラ開催の1年延期を発表した3月には、3万7042円となり、前年同月の5万0997円に対して27.36%と大幅に減少。緊急事態宣言が発出された4月は2万2511円となり、前年同月の4万9207円に比べて半分以下の54.3%減となった。実働率は53.6%、実車率は28.1%と、在籍タクシー車両の半分強の営業にもかかわらず、そのタクシーが走れどもお客がいないという深刻な需要激減に直面することになった。5月は実働率38.1%、実車率34.6%とさらなる悪化に見舞われた。

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その後、昨年6月〜本年1月までは特別区・武三の実働日車営収が対前年マイナス24.4%〜マイナス36.4%で推移。続く2月〜同9月は、コロナ禍前の2019年実績の対比でマイナス23.3%〜マイナス34.7%となっており、2020年と同様の大幅減少。それが、9月30日に緊急事態宣言等が全国で解除されたことで本年10月の実働日車営収は4万1079円、実働率68.8%、実車率42.2%に若干ながらも回復。コロナ禍前の2019年10月の実働日車営収5万0320円に対して18.4%のマイナス、実働率77.7%に対して8・9ポイントのマイナスだったことから、これらの数値の回復が当面の目標値となる。(数値は、原価計算対象事業者の輸送実績より)

一日も早くコロナ禍前の輸送実績の水準を回復し、タクシー復旧の起点としたいところだ。

(高橋 正信)

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次回Taxi Japan 403号 をお楽しみに!

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