論風一陣 小社の設立周20年を迎えて思うこと!(Taxi Japan 426号より)

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有限会社タクシー日本新聞社は、2003(平成15)年6月2日に設立しており、今年20年目を迎える。筆者は、タクシー専門情報紙を発行していたトラモンド社の記者、役員、社長を歴任して25年間在籍した後に退社し、小社を設立。爾来、20年が経過した。前職時代を合わせると、実に45年に及ぶタクシー業界紙稼業ということになる。

いささかのこれまでを顧みてみたい。

2003年4月20日付でトラモンド社の社長を辞任して退社したのだが、その時は引き続いて自らがタクシー業界紙を発行することを想定しておらず、最初に設立したのが有限会社タクハイ倶楽部だった。結局、翌年の2004年2月に「タクシージャパン」紙を創刊するのだが、その前にタクハイ倶楽部から現在の社名であるタクシー日本新聞社に変更した。

「タクシージャパン」紙は今回の発行で通算426号となるが、その中で強く印象に残っているのが、東日本大震災を特集した2011年3月25日付と同年4月10日付だ。悲惨な現場に足を踏み入れ、被災者に直接取材するとともに渾身の力を発揮した松村康史記者のフォトルポも忘れられない。また、2009年7月25日付から翌年2月25日付までの計8回に渡って連載した「東京・日本交通の栄光と挫折・川鍋一朗研究」は、川鍋氏が後年、東タク協や全タク連の会長職に就任することを想定せずに氏のありのままの素顔をクローズアップしようとした連載だった。 

筆者の一番の思いがこもった連載特集が、「ミッション:タクシー業界から薬物乱用者を根絶せよ!」だった。2013年7月25日付から2014年3月25日付まで実に計10回を連載、覚せい剤などの薬物の恐ろしさや管理体制のあり方などに警鐘を鳴らしたものである。取材を深めていく中で、薬物乱用者をチェックする試薬は、警察にはあるのだが、市販品がない。これでは、タクシー会社が乗務員の薬物乱用の有無を科学的にチェックできない。そこでアメリカの製薬会社の試薬が輸入可能だったことから、筆者は、あったらいいね本舗株式会社を設立し、試薬の輸入と販売を行うまでに踏み込んでいった。

試薬は、タクシー会社からも注文があったほか、全国展開の大手バス会社からも引き合いがあり、確実にニーズがあることを実感した。輸入した試薬は、個人的に使用するのには問題が無かったが、販売行為が薬事法に抵触する可能性があるとのアドバイスもあった。そうしたことも承知の上で取り組んだ。10回の連載にもかかわらず、薬物乱用の実態は変わっていない。小社の非力のなせる業で忸怩たる思いではあるが、自らの信じるところを懲りずに心新たに今年1年も追求していきたい。

(高橋 正信)


次回Taxi Japan 427号 をお楽しみに!

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