論風一陣 首都東京の各社別輸送実績を直視せよ!(Taxi Japan 466号より)

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交通資料社(二村好彦社長、東京都荒川区)が発行している「東京特別区.武三法人輸送実績」は、高営収を誇るタクシーマーケットにおける法人タクシー各社別の営業収入や稼働実態が一目瞭然で、他地区との生産性の違いのほか、各社間の数値の傾向を読み解くことによって様々な示唆に富んでおり、タクシー業界関係者には、必須かつ共有すべき資料となっている。

その8月輸送実績によると、195社のトップは、東京大手.日本交通グループ直営子会社のリボン交通(都内江東区、35台)で、実働日車営収が8万7785円、実働率91.1%、認可台数当たりの平均営収は7万9940円。この数値をベースとした単純計算で、認可タクシー1台の年間営収額は、7万9940円×365日=2917万8100円となる。このことは、195社の中央値となる98位の大同自動車が、実働日車営収5万501円、稼働率81.2%、認可台数当たりの営収が4万984円で、認可1台の年間営収額は、4万984円×365日=1495万9160円となる。それでも他地区の追随を許さない高営収の実態といえる。

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そしてこの法人輸送実績は、大手や無線グループ別に色分けされており、集計対象となっている195社(東タク協加盟の特別区.武三でタクシー普通車を保有する法人事業者数は258社)のうち営収ランク上位50社中33社を日本交通Gが占めて6割以上のシェアとなっており、続く国際自動車Gが50社中7社、そして大和(信和)Gが1社、日の丸Gも1社、東京無線協組関係で8社となっている。全体的にみれば、直営子会社や業務提携のフランチャイジー事業者の多さも含めて日本交通Gがダントツの一人勝ち状態にあると言える。

日本交通Gの代表でオーナーである川鍋一朗氏は、10年前に東タク協の会長職を富田昌孝氏から禅譲され、その3年後に全タク連会長に就任。本欄では、「川鍋全タク連会長誕生で護送船団解体!」と断じ、その後、東タク協や全タク連の会長職の立場と影響力を駆使し、利用しながら、最大シェアの配車アプリ「GO」を背景に、高営収と規模拡大、寡占化戦略を推し進めてきたのは、本紙報道を振り返るまでもない周知の事実だ。

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 「日本交通Gにあらずんばタクシーにあらず!」

と、なってはならない。そのためにも心あるタクシー業界幹部は、首都東京の各社別輸送実績を精査、直視し、そこから読み解ける北海道から九州.沖縄までの全国のタクシーとしてのあるべき姿に思いを巡らせ、タクシー事業が生き残って行くための護送船団再構築に向けた啓示に耳を傾けなければならないのではないか

(高橋 正信)


次回Taxi Japan 467号 をお楽しみに!

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