「GO社長が独白『ライドシェア記事NG』事件、ちらつく川鍋会長の影
『意図せず起きた』 従業員、無意識に反対派に染まる?」
これは、本紙前号の本欄で、「上から目線の無責任なGOはSTOP!」の見出しで取り上げたWEBメディア「自動運転LAB」が、続報として12月3日付で配信したGOの中島宏社長のインビュー記事の見出しである。
中島社長はインタビューの中で、「配車プラットホームを経営するGOの経営陣として中立を意識しており、その姿勢が従業員に浸透していなかった」として、「GOの従業員と広告代理店との間で意思疎通のミスがあり今回の通知になった」と釈明している。
これに対して、自動運転LAB側は、「GOの従業員が無意識に、おおっぴらに(ライドシェア)反対の姿勢を示している川鍋(一朗)会長の考えにつられ、ライドシェアに反対路線のコミュニケーションを広告代理店側としてしまったことが、今回の騒動が起きた原因として考えられそうだ」と論評している。そしてインタビューの中で、中島社長は「経営陣はメデイア側に通知が行われたことを当初は知らず、事後的に担当従業員から報告を受けた」として、コンプライアンスに関わる同社名の通知文書が経営陣の関与しないところで発出されていたことを明らかにしている。
この自動運転LABのインタビューに中島社長が応じたのは、事態の鎮静化を図る狙いがあったとみられるが、その記事内容は結果的に、現在のGOが置かれているコンプライアンスの欠如や企業統治の欠陥を白日にさらすことになった。具体的には、広告主のGOが代理店を通してWEB媒体側に広告継続の条件にライドシェア関連記事の削除を通告したのは、広告出稿という経済的圧力で記事内容に制限を加えようとする不当な企業倫理にもとる行為である。そしてそのことが中島社長や川鍋会長ら経営陣のあずかり知らぬところの担当者レベルで作成され、会社方針のように通知文書として外部に発出されてしまったことは、本来あってはならないGOの企業統治のシステムが機能していないことをいえる。
同時に、GO会長の一方で、東京大手・日本交通ホールディングスの代表や全国ハイヤー・タクシー連合会会長でもある川鍋氏は、ライドシェア解禁に全面的に反対の立ち位置にあり、中立を意識している中島社長とのツートップ間における利益相反が表面化したのが今回の事態の背景のようだ。東京証券取引所に上場を計画しているGOの今回の一連の事態について、早期上場を期待して同社に出資している主要株主動向にも注目が集まるところだ。
(高橋 正信)
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