論風一陣 NO.1ネットにみる共存共栄の精神!(Taxi Japan 476号より)

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第一交通産業(田中亮一郎社長、福岡県北九州市)は3月7日、広島県広島市の「ホテルグランビア広島」で、同社が主宰する「NO.1タクシーネットワーク」の中国・四国地区における感謝の集いを開催した。

NO.1タクシーネットワークは、全国34都道府県でタクシー8201台(2024年3月末現在)を保有する日本最大規模の同社が核となり、全国のタクシー事業者とタクシー関連の商品やサービスを提供している賛助会員企業との結び付きを強めることでの事業運営サポートを目的とする互助組織である。具体的には、同社のネットワークを活用して、中古タクシー車両の手配や全国のENEOSにおいて割安な限定価格で利用できるガソリンカード、独自のドライバー求人サイト「WAY」への掲載などを提供している。2016年の発足以来、現在では、全国833社タクシー約4万台が加盟するなど大きな組織に発展させている。

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全国のタクシー総台数は、17万3041台(2023年3月末現在)。そのうち東京や大阪などの大都市部や大手事業者関係などを除くと、NO.1タクシーネットワークへの地方の中小・零細タクシー会社の加盟率はさらに高くなってくる。営業車両の確保や燃料費の節減、乗務員確保などをサポートする互助組織の在り方は、いわば共存共栄を図ろうとする相互扶助の精神に基づく取り組みといえる。

翻って、タクシー業界を、マクロで見ると東京一極集中は衰えを見せず、ミクロで見ると事業者間の二極化が拡大していて、「格差社会化」が進展していることが伺える。それは、全国ハイヤー・タクシー連合会の取り組みが、日本版ライドシェアやタクシー未稼働枠活用の暫定増車などにみられるような、東京業界中心で地方業界の実情を無視したものになっていることへの批判が出ていることでも明らかだ。

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第一交通産業の田中社長は、全タク連副会長で、地域交通委員会の委員長を兼任、担当している。同時に、企業買収により事業規模を拡大してきた創業者の故・黒土始氏の後を継ぎ、M&Aを否定しないまでも、大きく舵を切って、疲弊する地方の足を確保するためには、同業他社との協調・連携が不可決との観点から、NO.1タクシーネットワークを立ち上げ、833社の約4万台となる支持を受けて実績を積み重ねてきている。地域の足の確保のために手を差しのべる取り組みは、大いに多とされるべきである。

同時に、高営収・高効率の東京のタクシーだけを見てタクシー事業全体の在り方を論じることは、木を見て森を見ず、と言え、タクシー業界全体の発展に軋轢や支障をきたし、将来に禍根を残しかねないことを肝に命じければならない。

(高橋 正信)


次回Taxi Japan 477号 をお楽しみに!

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