東京など全国の緊急事態宣言解除 アフターコロナに向けタク再始動 (Taxi Japan 368号より)

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府は5月25日、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言で、東京、神奈川、千葉、埼玉、北海道の5都道県についても解除した。これにより全国で新型コロナウイルス感染拡大防止を目的とした緊急事態宣言は全国で解除されたことになり、4月7日に緊急事態宣言が出された東京や大阪など7都府県を皮切りに1カ月半余りにわたって続いた外出自粛や飲食店や集客施設に対する休業要請などが段階的に緩和されることになった。

世界規模で猛威を振るう新型コロナウイルスの感染拡大では、日本における第一波については収束したとの判断が政府において行われたことになる。一方で、欧米や南アメリカなどを中心に感染拡大は続いており、経済活動の停滞による景気悪化は、日本国内はもとより、海外においても深刻化することが懸念されており、経済を下支えするための政府による大規模な経済対策の継続的な追加投入が求められている状況だ。

タクシー業界では、需要が激減する中で4月に入ると計画休業による稼働削減を実施する事業者が増え、東京都内では日本交通や国際自動車などの大手事業者を中心に50%の計画休業が実施されたが、都心の人出は20~30%近くにまで減少し、テレワークの推進で法人需要が大幅に減り、さらには銀座や六本木などの高級クラブも休業したことから深夜のタクシー需要も壊滅的な影響を受け、このため50%の稼働削減でも営収は低迷、東京ハイヤー・タクシー協会(川鍋一朗会長)がこのほどまとめた令和2年4月の東京都特別区・武三地区における原価計算対象26事業者1708台の輸送実績速報では、実働率は53.6%、延べ実働車両数も前年同月対比で60.9%と、タクシーの供給輸送力は大きく減ったが、それでも実車率は28.1%で、輸送回数と輸送人員は、対前年同月実績との比較でそれぞれ28.9%と27.6%と3割弱にまで減少しており、需要減少の度合いが供給の削減を上回った格好だ。

緊急事態宣言の解除による経済活動の段階的な再開によりタクシー需要にも一定の回復が期待できるが、景気の先行きが不透明な中で、需要と供給のミスマッチを回避しながら、いかにタクシー事業を再始動しながら正常化していくか、政府の経営支援策や需要喚起策の活用、さらにはフードデリバリーや買い物代行などの新たな取り組みも加えて、事業の存続と再興に向けた、柔軟かつ細心の経営判断が求められている状況だ。

〈本紙編集長=熊澤 義一〉

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緊急事態宣言が全国で解除


安倍晋三内閣総理大臣は5月25日、都内千代田区の「総理大臣官邸」で第36回新型コロナウイルス感染症対策本部を開催し、「4月7日に緊急事態宣言を発出してから7週間弱が経過した」などとしながら、「今般、感染の状況、医療提供体制、監視体制の3つの解除基準に照らし、残る5つの特定警戒都道府県について改めて評価をもらい、諮問委員会の了承の下、本日、関東の1都3県、北海道について、緊急事態措置を解除することにする」などと発言し、東京、神奈川、千葉、埼玉、北海道の5都道県についても新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言解除した。

これにより全国で新型コロナウイルス感染拡大防止を目的とした緊急事態宣言は全国で解除されたことになり、外出自粛や休業要請などで停滞していた経済活動が再開されることになった。

タクシー関係では、自動車教習所の営業も6月1日から再開される見通しで、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で養成乗務員の二種免許取得がストップしていただけに、養成乗務員の多い東京業界などでは、ほっと胸を撫で下ろす経営者も多そうだ。

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経済活動は段階的に再開


安倍首相は「これから、コロナの時代の新たな日常をつくり上げていく」としながら、「緊急事態の解除後においても、感染拡大のリスクをゼロにすることはできない。そのため、一定の移行期間を設け、感染リスクをコントロールしながら、段階的に社会経済の活動レベルを引き上げていく」と指摘、「具体的には、概ね3週間ごとに、地域の感染状況や感染拡大リスク等について評価を行いながら、外出の自粛、イベント等の開催制限、施設の使用制限の要請等について段階的に緩和していく」などと述べ、新型コロナウイルスの感染が再び拡がる第二波の発生を警戒しながら段階的に経済活動を再開していく考えを示した。

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業種別ガイドラインの実践


安倍首相は「段階的緩和に際しては、新しい生活様式の定着や、感染拡大防止に向けた業種別ガイドライン等の実践が前提となる」などと述べた。

ガイドライン

タクシーに関しては、全国ハイヤー・タクシー連合会(川鍋一朗会長)が5月14日に「タクシーにおける新型コロナウイルス感染予防対策ガイドライン(第1版)」を取りまとめており、ガイドラインでは「政府の『新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針』をはじめとする政府の諸決定を踏まえ、タクシーにおける新型コロナウイルス感染予防対策として、実施すべき基本的事項について整理したもの」などとしながら、「事業者は、対処方針の趣旨・内容を十分に理解した上で、本ガイドラインに示された『感染防止のための基本的な考え方』と『講じるべき具体的な対策』を踏まえ、個々の運行形態等も考慮した創意工夫も図りつつ、新型コロナウイルスの感染予防に取り組むとともに、社会基盤としての役割を継続的に果たすことが望まれる」などと指摘している。

その上で、「感染防止のための基本的な考え方」では、講じるべき具体的な対策として①経営トップが率先する感染予防対策の体制、②従業員の体温測定などの健康管理、③通勤では、テレワークや時差出勤、ローテーション勤務など、④事業所での勤務では、手洗いやマスク装着等の徹底、一定の距離を空けた従業員配置、人と人が頻繁に対面する場所でのアクリル板や透明ビニールカーテン等による遮蔽など、⑤事業所での休憩・休息スペースにおける共有する物品(テーブルや椅子等)の定期的な消毒など、⑥トイレなど不特定多数が使用する場所の清拭消毒、⑦ドアノブ、電気のスイッチ、階段の手すり、エレベーターのボタン、ゴミ箱、電話、共有のテーブル・椅子などの共有設備の洗浄・消毒、⑧運転者に対する点呼では、対面により運転者に対して点呼を行う際には、適切な距離を保つこと、点呼を行う運行管理者等と運転者の間にアクリル板や透明ビニールカーテンなどを設置すること、換気を徹底すること等により、いわゆる「三つの密」を避けるための取組を行う。また、運行管理者等に対し、マスク着用や、点呼前後の手洗い等の基本的な感染予防対策を講じるよう徹底する、⑨運行中は、乗務員はマスクの着用を徹底する。また、乗客の意向を確認した上で、エアコンによる外気導入や窓開け等の車内換気を行うとともに、車内換気を行っていることを表示する等により、乗客が安心して利用することができるように配慮する、⑩定員上、後部座席に着席可能である場合には、利用者に対して可能な限り後部座席に乗車するよう理解と協力を求めるなど、利用者に対する協力のお願い などを盛り込んだほか、感染者が確認された場合の対応では、従業員の感染が確認された場合には、保健所や医療機関の指示に従うとともに従業員が感染した旨を速やかに各地方運輸局等に連絡すること、複数社が混在する借用ビル内で同居する他社の社員で感染が確認された場合には、保健所、医療機関およびビル貸主の指示に従う、などとしている。

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東京都がロードマップ発表


また、東京都は5月22日、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う外出自粛・休業要請の緩和に向けたロードマップ(行程表)を発表。政府の緊急事態宣言解除後に「ステップ1」、「ステップ2」、「ステップ3」の三段階で外出自粛・休業要請を緩和していき、また感染が再拡大すれば自粛を要請するという内容。小池百合子知事は「25日に解除の決定が出たら、(自粛要請の緩和開始は) 26日の午前零時になる」との考えを示した。

ロードマップ

緩和の段階は、緊急事態宣言の状況を「ステップ0」として「ステップ3」まで設定。概ね2週間単位で状況を評価し、次のステップに進んでいくが、小池知事は「感染者が少ない状況が続けば、次のステップへの移行を早めることも検討したい」などと述べ、より短期間で緩和を進める可能性も示した。

緊急事態宣言の解除により適用となる、第一段階の「ステップ1」では、博物館や図書館、学校などの公共施設を中心に再開。客席部分を除く体育館など屋内の運動施設も緩和され、プロ野球などの無観客試合が実施できる。現在は午後8時までとしている飲食店の営業時間は、午後10時までに延長する。イベントは50人規模までなら開催が可能とするほか、外出自粛要請も緩和し、接触機会を5割程度まで減らす外出を認める。一方で、都外への移動については極力、控えるよう要請する。

「ステップ2」では、緩和対象を百貨店や映画館、学習塾、スポーツジムなどの施設にも拡大するが、経済再開への世論が強いこともあり、早ければ6月1日にも「ステップ2」への移行を都が打ち出す見通し。

続く「ステップ3」では、ネットカフェやパチンコ店、カラオケ店、ゲームセンターなどの遊技施設が休業要請解除の対象になる。

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接待を伴う飲食店の再開時期


東京都では、このようなロードマップを示しているものの、休業自粛要請が1カ月半に及んだこともあり、「ステップ3」の対象とされている都内のパチンコ店などでも緊急事態宣言の解除と同時に営業を再開する動きがあり、首都東京を含む全国での緊急事態宣言の解除で経済活動を再始動する流れが広がりそうだ。

一方で、感染リスクが高いとされるライブハウスや接待を伴う飲食店(クラブやキャバクラなど)ソープランドは東京都の休業要請緩和の対象に盛り込まれておらず、都は政府の方針を踏まえて判断する考えで、タクシー需要の本格回復に向けては、深夜需要を支える「接待を伴う飲食店(クラブやキャバクラなど)」に対する休業要請の解除時期が大きく影響してくることになりそうだ。

再び感染者が増加すれば警報


また、東京都では、感染者数が再び増加して「新規感染者数が20人未満」、「感染経路不明者の割合が直近の7日間で5割未満」、「週単位の感染者が減少」の目安を上回るなどした場合には、「東京アラート(警報)」を出して警戒を呼び掛けるとともに、東京湾のレインボーブリッジを赤色に点灯し、都民に周知する考え。

さらに「新規感染者数が50人以上」、「週単位の感染者が倍増」などの目安を超えた場合には、再び「ステップ0」に戻して都としての休業要請を再開する。

プロ野球は6月19日に開幕


ただ、そうした状況の中でも、社会・経済活動の再始動に向けた動きは、首都東京を含む全国での緊急事態宣言の解除で強まっており、プロ野球は、無観客ながら6月19日に開幕する方針を打ち出し、さらに7月10日には観客数を5000人程度に制限しての有人開催もスタートする予定だ。大規模集客イベントの代表格であるプロ野球が、観客を入れる形での試合を開催することになれば、他の大規模集客施設やイベントの開催にも弾みが付きそうだ。

政府は第二次補正予算


政府は令和2年度第二次補正予算案の事業規模を100兆円超とする方向で調整しており、安倍首相は「事業を存続するために待ったなしの固定費負担も大胆に軽減する」との考えを示している。

第二次補正予選では、企業の財務基盤を安定させ、休業者向けの給付を拡充するほか、医療の支援を強化する。過去最大だった4月の第一次補正予算を含む約117兆円の対策に続くもので、日本政策金融公庫や民間の実質無利子・無担保融資の拡充などで事業規模60兆円超を確保する。

政府系金融機関による劣後ローンや出資枠拡大、産業革新投資機構(JIC)の資金などに約12兆円のほか、公的資金注入を認める金融機能強化法の枠組みには15兆円を充てる。

具体的な経営支援策では、売上高が急減した中小企業や個人事業主には賃料を半年間分で最大600万円(月75万円まで3分の2、75万円超225万円まで3分の1)を給付する。企業が支払う休業手当を支援する雇用調整助成金は8330円から1万5000円に上限を上げるほか、雇用調整助成金のほかにも休業した従業員が企業を介さず自ら申請できる給付金制度も新設する。

さらに、地方創生臨時交付金も2兆円増額することにしており、需要激減で存続の危機に瀕しているタクシーや路線バス、地方鉄道などの地域公共交通の維持に向けた地方独自の支援策にも活用されることになりそうだ。

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ふれ愛交通などが経営破綻


そうした一方で、タクシー業界では、外出自粛の強まり、飲食店や百貨店などの休業、大規模イベントの中止、企業の在宅勤務によるテレワークの推進、さらにはインバウンドを中心とした観光が壊滅的な打撃を受けたこともあり、3月後半から需要が激減。

大阪では、貨物運送事業者の東陽運輸のグループ会社で、大阪タクシー協会の経営委員長である道野隆氏が社長を務めていた、ふれ愛交通(大阪市平野区)が5月13日に大阪地裁に破産を申請。負債総額は約1億3000万円。また、兵庫県神戸市では、神戸空港タクシー(兵庫県神戸市北区)も経営破綻して5月18日に事業を停止。近く破産申請を行う予定であるなど、需要の急減により全国で経営破綻するタクシー会社が相次いでいる状況だ。

需要急減の影響で、実働車当たりの日車営収が低迷して最低賃金に抵触するケースが相次いだほか、感染リスクの高い年金併用者を中心とする高齢乗務員の感染予防対策などもあり、4月に入ると全国で計画休業による稼働削減を実施する事業者が増え、東京都内では日本交通や国際自動車などの大手事業者を中心に50%の計画休業が実施された。

しかし、都心の人出は20~30%近くにまで減少し、テレワークの推進で法人需要は激減、銀座や六本木などの高級クラブも休業したことから深夜のタクシー需要も壊滅的な影響を受けた。このため、50%の稼働削減でも営収は低迷、中小事業者を中心に隔日勤務から昼日勤へと勤務シフトを変更するケースが増えたほか、効率の良い夜間営業に特化している個人タクシーの多くも昼間営業中心に変更する姿が目立った。

稼働削減を上回る需要減


50%程度の計画休業をして供給削減に取り組んでも、実働車当たりの営収低下を完全に回避することは難しく、東京ハイヤー・タクシー協会(川鍋一朗会長)はこのほどまとめた令和2年4月の東京都特別区・武三地区における原価計算対象26事業者1708台の輸送実績速報では、実働率は53.6%、延べ実働車両数も前年同月対比で60.9%と、タクシーの供給輸送力は大きく減ったが、それでも実車率は28.1%で、輸送回数と輸送人員は、対前年同月47.5%、実働日車営収は2万2511円で同 45.7%と、半減以下に。昼日勤車両の存在が平均数値を引き下げた可能性はあるが、それでも大幅減であることに変わりはない。

輸送実績速報(令和2年4月分)

配車アプリの活用がカギに


一方で、迎車回数は、対前年同期比で52.1%と、対前年同期比で28.9%にまで減った輸送回数と比べると減少幅は小さく、東京業界で取り組まれた50%をメドとした計画休業による稼働削減で流しタクシーが捕まえづらくなったことから、配車アプリの利用が進んだことも考えられ、タクシー需要の回復段階おける、タクシーの稼働と供給力をどうしていくか、需給のミスマッチを回避していくためにも配車アプリの活用は大きなカギになりそうだ。

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インバウンドは99.9%減


観光庁が5月20日発表した今年4月の訪日外国人旅行者数の推計値では、前年同月比99.6%減の2900人と、記録的な減少となった。減少幅は3月の93%減を上回り、過去最大を更新することになった。

訪日外国人旅行者数の推計値

1カ月間の訪日外国人客数が1万人を下回ったのは1964年の統計開始以降では初めて。政府は入国拒否の対象を計100カ国・地域にまで拡大しており、4月の2900人には日本に長期滞在している外国人の再入国なども含まれている。

このため、当初は今夏の開催が予定されていた東京オリンピック・パラリンピックを前にしてインバウンドによる訪日外国人旅行客への依存を高めていたホテルなどの宿泊業では、倒産が相次いでおり、インバウンドの比率の高い京都などの世界的な観光地を中心にタクシー需要も急減している状況だ。

政府は国内旅行の喚起策


新型コロナウイルス感染拡大で、世界的に入国や渡航を制限する動きが広がり、6月以降も訪日客の回復は期待できない状況にあることから、そこで主要観光地におけるタクシー需要回復のカギとなるのが国内旅行の喚起だ。

観光庁の田端浩長官は、5月20日の記者会見で「国内旅行の復活の兆しが見え始めた一方で、世界的な渡航制限の影響を受け、海外旅行や訪日インバウンドに関しては依然として動きは止まったままだ」などと指摘。

日本政府観光局(JNTO)が発表した4月の日本人出国者数は前年同月比99.8%減の3900人で、訪日外国人旅行者数は99.9%減の2900人となり、1964年の統計開始以来過去最低の水準だとしながら、田端長官は「先般成立した(第一次)補正予算に盛り込まれた観光需要喚起に関する『Go toトラベル』事業には1兆3500億円の予算が投じられ、旅行代金の2分の1相当(1泊当たり1人最大2万円)の宿泊・日帰り旅行商品の割引と地場の土産物店、飲食施設、観光施設などで幅広く使用できるクーポンを発行し、国内の観光需要を強力に喚起していく」などと述べており、タクシー業界としても、夏の観光シーズンに当たる7月中旬以降に実施されていくとみられる、こうした需要喚起策をうまく取り組んでいくような準備をしていく必要がある。

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フードデリバリー 1210社


タクシー業界では、旅客需要急減への対策から、国土交通省が外出自粛要請の影響を受けるタクシー事業者と飲食店の雇用を維持する目的で、9月30日までの特例措置として許可している飲食品の配送によるタクシーの有償貨物運送として、フードデリバリーに取り組む事業者が増加。

5月15日までに全国で、タクシー事業者による飲食品の有償貨物運送の特例許可件数は1210件で、登録車両台数は約3万7427台にもなっている。

運輸局管内ごとの内訳は▽北海道=125件、4482台、▽東北=235件、4483台▽関東=154件、6892台、▽北陸信越=100件、2265台、▽中部=128件、5424台、▽近畿=113件、4906台、▽中国=93件、2484台、▽四国=62件、832台、▽九州=190件、463台、▽沖縄総合事務局=10件、196台などとなっており、運輸局管内別でみると、タクシー事業者による有償貨物運送許可件数が最も多かったのは東北の235件だった。

配車アプリでタク飲食品配送


飲食品のフードデリバリーは、「Uber Eats」が大きなシェアを有していることからも分かるように、配車アプリとの親和性が高く、このため配車アプリ「Japan Taxi」と「MOV」を運用するモビリティテクノロジーズ(MoT、旧社名はJapan Taxi)は、日本最大級の出前サービスを展開する「出前館」と提携し、同社の配達代行サービス「シェアリングデリバリー」における配達方法のひとつとして、5月1日から東京(銀座、神田など八丁堀エリア)、神奈川(新横浜などセンター南エリア)、大阪(梅田、難波など今里エリア)を皮切りに、タクシー車両によるフードデリバリーを開始。 

Uberも、タクシー車両による「Uber Eats」のフードデリバリーを、名古屋のフジタクシーグループや、広島のNISIKIタクシー及びカープタクシーグループなどと協働して実施している。

第一交通は全国でタク配展開


また、日本最大のタクシー企業である、第一交通産業(田中亮一郎社長、福岡県北九州市)では、全国各地にあるグループのタクシー会社が、地元タクシー協会や商工会議所などとも連携して飲食品の有償貨物運送によるフードデリバリーに取り組んでおり、飲食品の宅配では、北海道函館市内の回転寿司チェーンと提携した「宅配函太郎」のほか、大分県大分市では地元商工会議所やタクシー協会による「わが家がレストラン!デリバリータクシー」などに参画している。

個別事業者でも、全国でフードデリバリーに取り組む事業者が増えており、都内板橋区の大栄交通(安英哲社長)では、ミシュランで3年連続の星を獲得している「鰻 わたべ」(都内文京区小石川)など複数の飲食店と提携して、タクシー車両による飲食品の宅配を5月26日からスタートする。

タクシーによる飲食品のフードデリバリーは、小規模貨物運送の補完という新しい役割をタクシーにもたらすきっかけとなるもので、救援事業による高齢者等の買い物代行などとともに、少子高齢化による人口減少により需要密度が低下している地方を中心にタクシーの生産性を引き上げ、事業を存続させていくためにも、メインとなる旅客運送にプラスαの付加価値を付け加えていくための取り組みとなっている。

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次回Taxi Japan 369号 をお楽しみに!

Taxi Japan公式サイトバナー

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