論風一陣 二極化の拡大でなく日交Gの一人勝ち!(Taxi Japan 392号より)

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東京・日本交通グループ(川鍋一朗代表)のタクシー輸送実績が、新型コロナウイルスの渦中にもかかわらず東京業界他社との比較において高営収、高稼働を確保。認可台数当たり平均営収(実働日車営収×稼働率)で東京業界上位を独占している状況だ。

タクシーデータ・ランクサービス社(砂田唱志代表、東京都青梅市)がこのほどまとめた、東京都特別区・武三地区の法人タクシー213社における4月のタクシー輸送実績の認可台数平均の営収ランキング表でも明らかだ。

コロナ下稼働率

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特別区・武三地区213社における認可台数当たり平均営収の上位50社のうち、1位から16位までを日本交通本体・直営子会社、業務提携のフランチャイジーの日交Gで独占したほか、上位社中の社が日交Gだ。上位50社の認可台数当たりの平均営収は4万7007円~4万0695円となっており、実働日車営収5万2761円~4万3546円、稼働率は95.3%~79.7%。コロナ禍の中でも上位16社は単純平均で85.4%の高稼働、そして高営収を確保している。  

これを東京ハイヤー・タクシー協会がまとめた4月の全事業者輸送実績と比較すると、全事業者平均の実働日車営収は3万7656円で日本交通G上位16社の数値より1万5105円~5890円低く、全事業者の稼働率66.6%は、日交G上位16社平均の85.4%より18.8%も低い。

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一方、認可台数当たり平均営収が8977円の「日本交通(株)葛西」が、営収ランク 211位にあった。とはいえ、実働日車営収は4万8022円で213社中12位、実働日車走行キロは309キロでトップ、211位に甘んじているのは、いつに稼働率が 18.7%であるためだ。
この日本交通の葛西営業所(江戸川区、タクシー74台)は、昨年8月18日から運行を開始した新設営業所で、新卒乗務員のみ(当初29人、平均年齢24.03歳)で構成し、管理職も新卒乗務員として入社した社員が職種変更して担当するというもの。日本交通Gでは、2012年から新卒乗務員の採用を開始しすでに累計で1218人の入社実績がある。そして葛西営業所は、新卒以外の乗務員や管理職のまったくいないこれまでに例を見ないタクシー営業所となっている。同時に、同学業所の新卒乗務員に対しては一般社団法人運転地理検定協会が実施する運転地理検定の「都心部3級」の取得を通じて乗務員としてのモチベーションとスキルの向上を図っている。  

日本交通では、都内の大学病院や大規模複合ビルなど約30カ所にディスパッチャー(配車係)を配置した専用タクシー乗り場を有しているほか、スマホ配車の拡充に精力的に取り組むなど断トツの輸送実績を確保できる要因になっている。アフターコロナに向けて日本交通Gの一人勝ちの様相を呈しており、競合他社がこれに伍していくためには、切磋琢磨をしながら日本交通の取組みから学ぶべきところは学びながらも、経営戦略の再構築が求められているのではないだろうか。

(高橋 正信)

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次回Taxi Japan 393号 をお楽しみに!

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