論風一陣 緊急事態宣言の愚はこれっきりにせよ!(Taxi Japan 391号より)

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新型コロナウイルスの感染拡大により、最初に緊急事態宣言が発出されたのは昨年4月7日。その後、今年1月8日、そして4月25日と計3回も同じ愚を繰り返してきていると指摘したい。  

緊急事態宣言は、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく措置で、内閣総理大臣が緊急的に措置を実施する期間や区域を指定し、宣言対象地域の都道府県知事が、不要不急の外出の自粛や学校の休校、百貨店や飲食店などの施設の使用制限などを要請、要請に応じない場合に指示を行うという制度だ。これらの要請に対し、多くの国民や企業が従ってきたものの、一向にコロナ禍は収束しないのは、これまでの対策が医学的、科学的な根拠と決め手を欠いているにも関わらず、「いかにも対策をやっています」的なところに視点があるような措置を繰り返してきたからだ、と筆者はみている。

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1回目の緊急事態宣言は、昨年4月7日発出で5月6日までの予定が、結局、5月25日まで延長された。2回目は、発出が今年1月8日で、2月7日までの予定だったものが3月7日まで延長され、さらに3月21日まで再延長された。3回目も4月25日から5月11日までとしていたのを5月31日まで延長、そして6月20日までの再延長で、現在はその真っ只中にある。  

普通、1回やってみて効果が無いから延長することはある。2回やってみて効果が無いから延長し、さらに効果が無いから再延長。ここで緊急事態宣言下での対応措置では効果が無いと気付かなければならない。3回目も同じ愚を繰り返している。そして3回目には飲食店での営業時間短縮に止まらず、終日で飲食店における酒類の提供を禁止という措置まで打ち出された。

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 その一方で、休業・営業短縮に応じた飲食店に対して都道府県から支給される支援金の給付時期が大幅に遅いこともあり、業を煮やした飲食店側が経営維持のため、酒類の提供に踏み切るケースが相次ぐ状況となっている。一方、タクシー業界においては、雇用調整助成金の特例措置が7月末まで延長されたとはいえ、8月以降は雇用保険の財源不足などもあって特例措置の縮減も予想される。厚生年金保険料の納付猶予措置も終了し、猶予期間分も含めた納付が迫られる状況だ。  これまで耐えてきたタクシー事業者も、雇調金特例措置の縮減や厚生年金保険料などの納付負担増などが待ち受けており、経営維持の努力も限界を超えかねない。一方で、コロナワクチン接種が急ピッチに進められており、今秋にはコロナ禍の収束にも一定のメドが立つはずだ。それまでの間、地域公共交通維持のための本格的な経営支援についてタクシー業界を挙げて強く政府に求めながら、コロナ禍を何とか乗り越えて欲しい。

(高橋 正信)

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次回Taxi Japan 392号 をお楽しみに!

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