論風一陣 川鍋会長続投を是としても手順が杜撰!(Taxi Japan 433号より)

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東京ハイヤー・タクシー協会(川鍋一朗会長)は4月14日、任期満了に伴う役員改選で、会長選出に関する立候補者の受付を締め切ったが、現職の川鍋会長以外に立候補者がいなかったことから、川鍋会長の6期目続投が内定した。その事実を是としても、前月の理事会における川鍋会長続投を目指す手際、手順は首をかしげざるを得ない杜撰さと指摘したい。

まず、総務担当の川野繁副会長が、正副会長・専門委員長会議における執行部案として川鍋会長の続投を推薦する旨を報告し、「川鍋会長にも受けてもらえた」と報告している。正副会長・専門委員長会議は、会長である川鍋氏が招集、主宰した会議で、しかも副会長・専門委員長は、会長専管事項として川鍋氏によって指名、委嘱されている。まして8副会長のうち、総務、経営、労務の主要専門委員会を担当する3氏は、川鍋氏が代表を務める日本交通グループに加入するフランチャイジーの代表者である。これらのことを考えると、川鍋会長が指名、委嘱した副会長・専門委員長らが川鍋氏の会長続投を推薦することは、本末転倒だ。長期政権だった故新倉尚文氏の会長時代は、東都自動車交通の故宮本市郎氏やグリーンキャブの故高野将弘氏らの準大手事業者が理事会および総会の席上で会長続投を提案し、これを承認する手順を踏んできたと記憶している。

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さらに新たに策定された会長選任規程では、「継続して10年以上会員であって、かつ、理事として6年以上経験がある者から会長候補者を選考する」と定めている。なぜ10年で、どうして6年なのか、その根拠は不明だ。要は、規制緩和時代に新規事業者が立候補した経緯があっての新参事業者を排除するための予防策、とみることも出来る。

前月の理事会では、「正副会長・専門委員長会議だけではなく、常任理事(支部長)の意見も聞いてほしい」との要望が出されたが、川鍋氏は、聞き置く、とし、「継続10年以上の会員で、理事として6年以上」の会長選任規定を「継続6年以上会員、理事4年以上」への短縮のほか、会長続投の期間(回数)制限を求める意見も出されたが、川鍋会長は、「検討したい」というにとどめた。

川鍋会長は、2005年に日本交通の社長に就任し、9年後の2014年に会長に就任している。ここでいう会員とは個人ではなく法人を指すのだから、川鍋氏が、「継続して10年以上の会員」の規定にそぐわないなどとはいわない。それにしても副会長・専門委員長会議での川鍋会長続投の推薦といい、「10年ひと昔」という言葉があるように10年間の会員継続と6年以上の理事経験者でなければ会長に立候補できないという排他的なあり様は、守旧の極みだ。川鍋会長続投をめぐる手際や手順の杜撰さは、筆者としては、これっきりに願いたいものである。

(高橋正信)


次回Taxi Japan 434号 をお楽しみに!

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