論風一陣 唐突な一種免許でタクシー乗務の提案!(Taxi Japan 436号より)

2002

全国ハイヤー・タクシー連合会(川鍋一朗会長)は6月1日、都内千代田区の「自動車会館」で定例の正副会長会議を開催したが、川鍋会長が提起した「アプリ配車に限った期間限定による一種免許でのタクシー乗務」を巡り、各副会長らからは「ライドシェアとタクシーとの垣根をタクシー業界自らが低くするものだ」などとして強い懸念を示す反対意見が出た。

東京都内では、配車アプリ「GO」と日本交通グループ(ともに川鍋氏が代表取締役会長を務める)が連携する形で、アプリ配車のうち乗降車地が事前に決まっていて事前確定型でアプリ内での運賃決済まで完了している利用者を対象とした、時給制パート乗務員による「その他ハイヤー」を活用したアプリ配車限定車両の「GOReserve」を運行。今回の一種免許乗務員によるアプリ限定車両も、こうした運用方法を念頭に置いている。

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川鍋氏は、一種免許によるタクシー乗務の大義名分として、供給不足の一刻も早い是正、を挙げているが、それは詭弁に過ぎない。本音は、勤務日数や継続勤務などが不安定なパート乗務員に対する二種免許取得費用の負担リスク低減ではないか。

さらに、「ライドシェアとタクシーとの垣根をタクシー業界自らが低くするものだ」などとして強い懸念を示す反対意見が出たように、海外のライドシェアもアプリ配車限定で流し営業や駅待ち営業などは認められておらず、川鍋氏の提起内容で、ライドシェアと何が異なっているのかというと、大きくは、使用車両が自家用か営業用か、の違いでしかない。

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全タク連では、通常総会や事業者大会において、「地域公共交通の存続を危うくする『ライドシェア』と称する白タク行為を断固阻止する決議」を繰り返し行ってきたのである。今回の提起は、「これまで反対してきたライドシェアを、実質的に自ら経営するGO Reserveでやらせろ」と主張するもので、言行不一致による我田引水の、タクシー業界に対する背信、裏切り行為と言えまいか。にもかかわらず、そのことに川鍋氏は気付いていないのか、事前のオンライン会議で全タク連の副会長や専門委員長らに伝達し、関係当局にも根回しを進めてきたのである。

川鍋氏には、自社の利益追求のみに盲進する姿しか見えてこない。来る全タク連通常総会の席上で、川鍋氏は提起の内容とその狙いに加え、全タク連の経営委員会や地域交通委員会などの関係する専門委員会、都道府県協会における具体的な議論が無いままに関係当局や自民党タク議連への意向打診に動いた経緯について、会長として、全タク連に参集する全国の会員事業者に対して、その説明責任を果たさなければならない。

(高橋 正信)


次回Taxi Japan 437号 をお楽しみに!

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