論風一陣 緊急事態宣言を繰り返す愚に異議あり!(Taxi Japan 395号より)

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政府は8月20日、東京など6都府県に発出していた緊急事態宣言の対象地域に、茨城、栃木、群馬、静岡、京都、兵庫、福岡の7府県を新たに追加。8月末までだった6都府県の緊急事態宣言を再々延長、これら地域の緊急事態宣言を9月12日までとした。また、まん延防止等重点措置の対象地域も追加するとともに同じく期間を9月12日とした。

緊急事態宣言イメージ

緊急事態宣言は、茨城、栃木、群馬、静岡、京都、兵庫、福岡の7府県を新たな対象地域とし、沖縄(5月23日から)、東京(7月12日から)、埼玉、千葉、神奈川、大阪の4府県(8月2日から)の既存の宣言発出地域を合わせると計13都府県になる。

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また、まん延防止等重点措置は、宮城、富山、山梨、岐阜、三重、岡山、広島、香川、愛媛、鹿児島の10県を新たな対象地域に指定。既に指定されている北海道、石川の2道県(8月2日から)、福島、愛知、滋賀、熊本の4県(8月8日から)を合わせると16道県となる。緊急事態宣言とまん延防止等重点措置を合わせると、実に全国47都道府県中の29が対象地域となる。  

翻って、1回目以降の緊急事態宣言の推移を振り返る。昨年の4月7日に政府は、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県に緊急事態宣言を発出。それをこともあろうに岩手県などの感染者ゼロ地域がありながら4月16日には対象地域を全国に拡大している。当時の安倍晋三内閣総理大臣は「爆発的な感染拡大を防ぐためには、今般改定を行った基本対処方針に基づき(中略)協力をお願い」などとしているのであるが、この1回目の宣言時の基本方針は ①外出・移動の自粛 ②テレ ワークの促進 ③3密回避ーーーなどで、これらは4回目となる今回の緊急事態宣言でも繰り返されているように決め手を欠いた内容だ。  

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これまで4回の緊急事態宣言を発出しながら、しかも毎回期限を延長して、効果が見られないということは、何を意味しているのか。一部の報道で、「東京では、重点措置も含めれば感染防止をめぐる対策が何もない”普通の日“はたった28日。もはや緊急事態が日常となっている」と指摘していた。決め手を欠いたいかにも対策をやっているとの体裁づくりの緊急事態宣言やまん延防止等重点措置を繰り返す愚は、タクシー業界をはじめ多くの産業が致命的な打撃を受けている中で見直さなければならないのではないか。  

政府・有識者会議の尾身茂会長は、「このままでは救える命も救えない」とこれまで関わってこなかった民間医療機関や医師会に協力を促し、総力を挙げて医療提供体制を強化するよう訴えている。ことほど左様に、これまで「医療機関がひっ迫している」のメッセージが繰り返されながらこれまで関わってこなかった、民間医療機関や医師会が多く存在することを認めた人ごとの発言だ。政府のちぐはぐなただひたすら耐え忍ぶほかない刹那にやりきれない思いが募るばかりだ。

(高橋 正信)

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次回Taxi Japan 396号 をお楽しみに!

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