有限会社タクシー日本新聞社は、2003年6月に設立してから20年が経過した。設立翌年の2月にタクシー専門情報紙「タクシージャパン」を創刊して今日に至っている。
タクシージャパン紙の創刊第1号は、2004年2月20日付け、「論風」と名付けたコラム欄で、「『タクシージャパン』創刊に当たって」を皮切りに、第2号では、「波多野氏の経営者としての資質を問う」と題して、「不沈艦といわれた”大日本帝国“の旗艦である国際自動車の艦長の降板」を解説し、ハイヤー・タクシーの本業を顧みずにバブル景気に翻弄された氏の経営者としての資質について論じた。さらに「タクシーは全面禁煙に踏み切るべきだ!」(第4号)、「苛立つ地方幹部、東京主導の全乗連運営!」(第7号)、「新倉会長は、交代論の台頭を知るべし!」(第13号)など、タクシー業界に係るよもやまを歯に衣着せずに解説し論じてきた。
新聞ないし情報紙にとって、評論や論説の掲載については、報じる側の寄って立つスタンスを明らかにするという意味でも不可欠だとかねて思ってきた。その「論風」欄は、2006年3月25日付け第50号を機に「論風一陣」に改題し、直近の号で437回論じてきたことになる。
小社の設立は、タクシー事業の規制緩和の1年後だったが、規制緩和の主眼であった優勝劣敗によるタクシー事業の活性化は望むべくもなく、周知のとおり供給過剰による輸送秩序の混乱の中で事実上の強制減車を伴う再規制へとタクシー事業の激動期を経験することになった。さらには、3年余に及ぶ新型コロナウイルス禍によって、これまで経験したことのない社会経済の停滞状況の中でタクシー需要が蒸発する危機にも見舞われた。
自動運転技術の進展によってアメリカや中国では、無人による自動運転タクシーの営業が一部地域で始まっている。さらには、人工知能(AI)の進化で、「世界で3億人の雇用に影響が及ぶ」という報道もあった。最近では、全タク連の川鍋一朗会長が、これまで反対してきたライドシェアに道を開きかねない、タクシーの供給不足解消を大義に自家用有償旅客運送を準用した一種免許タクシーへの動きには、多くのタクシー事業者が「この先、誰を頼りに何をどのようにしていけばいいのか。タクシー事業は存続していけるのか」との不安に包まれ、思案投げ首の現状といえるのではないか。
タクシー業界にとっては、タクシー事業の将来を展望し、近未来に向けた全体のコンセンサスを取りまとめ、得体のしれないカオスに対処するための具体策を提示できる、オピニオンリーダーの出現を切に求めたい。
(高橋 正信)
次回Taxi Japan 439号 をお楽しみに!
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日本タクシー新聞社の発行する、タクシー専門情報誌「タクシージャパン」は毎月10・25日発行。業界の人が本当に求めている価値ある情報をお届けするおもしろくてちょっとユニークな専門紙です。