論風一陣 GOがライドシェアアプリとの2刀流!(Taxi Japan 443号より)

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前号本欄の表題「イコールフッティングに本音がポロリ!」で全タク連の川鍋一朗会長がライドシェアの解禁検討を前提としたタクシー規制緩和を提起したことを論じ批判した。

これを受けて複数のタクシー業界幹部筋から川鍋会長の”我が家の経営戦略“について次のような見方が筆者に伝えられて驚かされた。

その見方とは、①川鍋会長の今の心境は、GOの株式上場をすみやかに成就することに関心が強く、そして上場を果たした後のことに思いを巡らせている②イコールフッティングを口にする川鍋会長は早晩、何らかの形でライドシェアが解禁されるとみていて、ライドシェアを”我が家の経営戦略“に取り込んだ事業展開を企図している③そしてライドシェアの解禁時にGOが現状のタクシーアプリをベースとしたライドシェアを含む配車プラットフォーマーの2刀流に取り組むのではないかIというものである。

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すでにGOの上場含みで東京大手・日本交通の代表取締役を川鍋氏は退任している反面、GOの代表取締役は継続している。さらにGOにおいては、ライドシェア解禁論者である政財界関係者が主張する、タクシー会社が一種免許運転者の運行や健康を管理するという日本版ライドシェアへのプラットフォーム提供のためのアプリ開発を社内で指示しているのではないかとする見方も出ていて、上場のタイミングに合わせて実施を目指すとの観測もある。そのことによって日本版ライドシェアのプラットフオームを寡占化し、海外のライドシェアでノウハウを持つウーバーやDiDiなどの外資系プラットフォーマーに対する優位性を確保しようとしている、というものだ。

これらの見方が事実とすれば、川鍋会長は、タクシー事業者の利益代表ではなく、配車アプリ会社の利益代表と言わざるを得ず、さらにライドシェアを”我が家の経営戦略“に組み込むというなら、全タク連の10数年に及ぶライドシェア断固阻止の決議を反故にする、全国のタクシー業者に対する背信、裏切り行為といわざるを得ない。

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それ以上に、現状においてタクシー業界幹部筋が強い不信感を川鍋会長に向けていること、そのことが不正常な異常事態といえる。仮にライドシェアを取り込んだ”我が家の経営戦略“は、存在しない、単なる噂、というなら、少なくともそのことを川鍋会長自らが説明しなければならないのではないか。

反面、懸念が事実というなら、川鍋会長はすみやかに全タク連会長職を辞すべきが組織のトップの態度で、全タク連会長の地位を”我が家の経営戦略“に利用することは許されない。いずれにしても川鍋会長には、このような不信感を一掃するためにも説明責任を改めて求めたい。

(高橋 正信)


次回Taxi Japan 444号 をお楽しみに!

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