論風一陣 断固RS阻止にタク労働者は決起せよ!(Taxi Japan 446号より)

2055

政府の規制改革推進会議(議長=冨田哲郎・JR東日本会長)の地域産業活性化ワーキンググループ(座長=林いづみ・桜坂法律事務所創立パートナー弁護士)は11月6日に第1回目、13日に第2回目の会合を開き、「地域交通の現状と課題」をテーマにヒアリングを行うとともに、「諸外国におけるライドシェア法制と安全確保の取り組み」の説明を聞き、日本版ライドシェアの制度設計に向けた質疑が展開された。

TOPページはこちら 

このところの菅義偉・前総理がライドシェア解禁のスピーカー役を果たし、これを受けてデジタル行財政改革会議や規制改革推進会議を統括する河野太郎・デジタル大臣が政権内部での具体化を担い、小泉進次郎・衆議院議員が国会対策で超党派のライドシェア勉強会を立ち上げるなど、神奈川県選出の3者が連携する形で、きっちりと役割分担を果たしながら「ポスト岸田」を見据えて政局化しているライドシェア解禁で主導的な動きをみせている状況だ。同時にそのスピード感は、これまでの制度・政策の立案過程とは比べものにならない速さで展開している。「守るべきは規制でなく、国民の移動の自由だ」と河野大臣が言い放って、移動の自由=ライドシェアありきの状況を構築しようとしている。

そんな中で、全タク連の川鍋一朗会長は、地理試験の廃止や二種免許取得の効率化など、タクシー規制の緩和・改革によるライドシェアとのイコールフッティング(競争条件の同一化)を訴えるとともに、来年10月1日には改正特措法に基づく準特定地域指定がほとんどの地域で解除されるという個人の希望的観測をアピールすることで、タクシー供給体制の活性化を主張。いわば、タクシー規制緩和によるイコールフッティングと新規参入・増車の解禁を訴えているのである。このような成り行きでは、先の総会や事業者大会において「ライドシェア断固阻止」の決議をしたはずの全タク連・川鍋会長に期待が持てないのは明らかだ。

TOPページはこちら

ライドシェア解禁で、その影響・被害は、誰が被るのか。真っ先にタクシー運転者に及ぶことは想像に難くない。タクシー運転者の本音でいえば、コロナ禍からの回復過程において、若干の供給不足であっても営業収入が高止まりして他産業との賃金格差が縮小している現状に一息ついているはずだ。そこのことは、このところの乗務員数の回復傾向にも見て取れる。しかし、ライドシェア解禁やタクシー規制緩和で需給状況が反転すれば、深刻な売上低下を招くことは火を見るより明らかだ。

加熱するライドシェア解禁論議における大きな懸念点のひとつが、これまで全国津々浦々で「国民の移動の自由」を担ってきた現場で働くタクシー労働者への配慮や視点が欠落していることだ。このまま「国民の移動の自由」を担う主役の座をライドシェアに奪われ、タクシー事業と職場が衰退していくのを待つことなく、すべてのタクシー労働組合が大同団結してタクシー労働者の力を結集することで、ライドシェア断固阻止に向けて決起すべきだ。

(高橋 正信)


次回Taxi Japan 447号 をお楽しみに!

Taxi Japan公式サイトバナー

Taxi Japan最新号は公式サイトでご覧いただけます。

日本タクシー新聞社の発行する、タクシー専門情報誌「タクシージャパン」は毎月10・25日発行。業界の人が本当に求めている価値ある情報をお届けするおもしろくてちょっとユニークな専門紙です。