論風一陣 RS旋風に負けずに自信と誇りを持て!(Taxi Japan 447号より)

2081

ライドシェア解禁に向けたカウントダウンが、始まりかねない政権与党周辺の喧騒ぶりに違和感を覚える。

確かにアフターコロナで、以前よりも時間帯や場所によるタクシー不足が顕在化していることは間違いない。しかし、供給不足を解消するためにはライドシェア解禁が唯一、最適な方法、手段と言えるのか、疑問を感じざるを得ない。まずは、退出してしまった員数を確保することが、優先順位の第一位でなければならないはずだ。

その点では、全国ハイヤー・タクシー連合会の川鍋一朗会長が、規制改革推進会議WGなどの場でイコールフッテイング(競争条件の同一化)を早い段階から独断で主張したのが間違いで、あくまでタクシーが国民の移動の自由を守ると一貫して主張するべきであった。ライドシェアと対等に競争するためというのは、ライドシェアの解禁を前提としており、タクシー業界として、ライドシェア推進論者に解禁を容認した条件交渉との印象を強く与えてしまった。

現在は、規制改革推進会議WGにおいてライドシェアが論議されているが、有償旅客運送の一形態であるライドシェアの定義がなされないまま、「日本的なライドシェアの導入」が俎上に上がっている。そして当面は、法改正の必要が無い道路運送法78条(自家用車の有償運送)3号の「公共の福祉」に基づく規定で対処するというのは、道運法78条3号では想定されていなかった形でライドシェアを導入しようとするもので、ライドシェアに対する国民の認知を進めようとするものだ。

TOPページはこちら

UBERやLyftなどの米国発祥のアプリ配車は、ライドシェアリング(Ridesharing)とは呼ばずにライドヘイリング(ride hailing)と称している。ヒッチハイク文化が根付く米国でライドシェアとは、好意による自家用車の相乗りのことを意味している。そこで対価を目的とした商業的なライドシェアは、これと区別するために「ライドヘイリング」としている。そうした意味からも、政府においてもライドシェアとは言わずにライドヘイリングと呼称を改めてみては如何であろうか。

アフターコロナにおけるタクシー不足を理由に、「守るべきは規制ではなく国民の移動の自由だ」と啖呵を切るのはいいが、これまで国民の移動の自由を守ってきたのは、がんじがらめの規制で縛られてきたタクシー業界である。吹き荒れるライドシェア旋風に負けずに、乗務員も徐々に増えて来ている現状を踏まえ、タクシー業界自らが自信と誇りを持って「これからも国民の移動の自由はタクシーが担う」ことを宣言し、ライドシェアに対しては、断固阻止を主張すべきである。

(高橋 正信)


次回Taxi Japan 448号 をお楽しみに!

Taxi Japan公式サイトバナー

Taxi Japan最新号は公式サイトでご覧いただけます。

日本タクシー新聞社の発行する、タクシー専門情報誌「タクシージャパン」は毎月10・25日発行。業界の人が本当に求めている価値ある情報をお届けするおもしろくてちょっとユニークな専門紙です。