論風一陣 根拠を示さない「100%」発言は禁句!(Taxi Japan 464号より)

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全国ハイヤー・タクシー連合会の川鍋一郎会長による準特定地域指定における「100%解除される」発言が波紋を広げている。

東京都特別区・武三交通圏や大阪市域交通圏など全国の主要交通圏を含む144営業区域が改正タクシーに特措法に基づいて新規参入や増車が規制される準特定地域に指定されている。これらの準特定地域の指定が今年9月末をもって「100%解除になる」と川鍋氏が断言。これを受けて、東京都内をはじめ準特定地域で一定金額のタクシー営業権が存在する地域で、営業権が無くなる前にタクシー事業を譲渡とするM&Aの動きが顕在化している。

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川鍋氏の発言は、6月19日に都内千代田区の「自動車会館」で行った業界紙向けの共同インタビューに応じた際のもので、その中で「準特定地域の指定について、解除を望んでいるのか」との問いに、「望む、望まない、ではなく、今の政治的状況を見て、100%解除になる」と回答。その背景として、①指定解除要件を満たすことが難しい「日車実車キロ」の指標を、同様の意味合いを持つ「時間当たり実車キロ」に置き換えたら簡単に要件はクリアできる②これだけタクシーが足りないといわれている中で、国交省がタクシーは供給過剰だと判断できる状況にない③(日本版ライドシェアの実施主体であるタクシー事業への新規参入を制限している)指定を解除しないと、規制改革推進会議WG委員らからつつかれて国交省がもたないIなどと独断的な見方を示しているが、準特定地域が「100%解除になる」ことの根拠、その確証は示されていない。

一方で、その後に開催された全タク連総会の席上では、川鍋氏は、準特定地域の指定解除に関して一切の言及をしなかった。このため「今秋に準特定地域の指定が解除されたら、巷間で言われているタクシー営業権はゼロになりかねない。そうならないうちに処分してタクシー事業から退出しよう」などという事業者の声が聞かれ、実際にM&Aを実行する動きが出ていることは見過ごせない。

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もっとも「解除を望んでいるのか」との問いに、川鍋氏は真正面から答えていないが、内心で「望んでいる」ことは一連の文脈から明らかだ。筆者は、我が社の経営戦略第一主義の川鍋論法に、いつまでタクシー業界は振り回され、結果的に隷属していくのか。その先で後悔する日が来たとして、多数のタクシー会社はすでに淘汰されて消滅しているのか?そうなっていないとしても、氏が大株主として代表取締役会長を務める配車アプリGOに経営をコントロールされてしまうコラボレーション会社になっているのか?まさかだが、そんな成り行きは、御免蒙りたい。

(高橋 正信)


次回Taxi Japan 465号 をお楽しみに!

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