論風一陣 令和2年の新春を寿ぎ忘れな草の初夢!(Taxi Japan 359号より)

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ある日の昼下がり。お揃いのオーバーコートを着た初老の夫婦とおぼしき二人連れが、日比谷公園から出て歩道にたたずんでいた。そこに音もなく運転手のいない箱型の電気自動車が停車。自動で開いたドアから二人は乗り込み、いずこへともなく走り去った。 改めて周りを見回してみた。そうすると日比谷公園の前の道路を運転手のいない大小の電気自動車が行き交い、おしゃべりに興じる人々が乗っていたり荷物を積んでいたりしているのである。運転手のいない自動車だが、その走行にぎくしゃくしたものはなく、道路がスムーズに流れているのに目を見張った。さらに日比谷公園前の三差路にあった信号機が姿を消しているではないか。自動運転の電気自動車はどこかで統一的に制御されているのなら不必要なのかもしれないが、人が道路を横断する時はどうするのかな、とみていると歩行者にだけ音声と電光サインで横断OKと示されるのであった。

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そして日比谷公園の向かいにある帝国ホテル側へ道路を横断した。いつもならホテルを取り囲むようにタクシーがずらり停車しているのだが、その姿がない。帝国ホテルの正面玄関に到着すると、タクシー乗り場だったスペースに無人の自動運転電気自動車が地下駐車場から出てきて停まった。利用者が乗り込んで発車、続いて出てきた1台が乗り場に停車。次々と利用者が乗り込み発車していったのだった。 そこで「利用しない手はない」と乗り込んでみた。行き先を音声で「JR飯田橋駅東口」と告げると、合成音声で復唱してタブレット画面に最短の走行ルートが表示され、こちらが「了解」と応えると、無人の自動運転電気自動車はスーッと静かに発車したのであった。

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 目的地までの走行は支障なく。乗車 ある日の昼下がり。お揃いのオーバーコートを着た初老の夫婦とおぼしき二人連れが、日比谷公園から出て歩道にたたずんでいた。そこに音もなく運転手のいない箱型の電気自動車が停車。自動で開いたドアから二人は乗り込み、いずこへともなく走り去った。 改めて周りを見回してみた。そうすると日比谷公園の前の道路を運転手のいない大小の電気自動車が行き交い、おしゃべりに興じる人々が乗っていたり荷物を積んでいたりしているのである。運転手のいない自動車だが、その走行にぎくしゃくしたものはなく、道路がスムーズに流れているのに目を見張った。さらに日比谷公園前の三差路にあった信号機が姿を消しているではないか。自動運転の電気自動車はどこかで統一的に制御されているのなら不必要なのかもしれないが、人が道路を横断する時はどうするのかな、とみて時間13分で到着。と、合成音声で「利用料は750円」と。キャッシュレスで決済して降車した。この自動運転電気自動車はどこに行くのかとみていると、飯田橋にある自動運転車専用の駐車スペースに向けて走り去ったようだった。かつて帝国ホテルから有人タクシーを利用すると1500円前後であった。ということは半額。確かに、

有人だった時代のタクシー運賃の原価の7割強が人件費だったので、その人件費分が無くなれば、半額の利用料でもコストを賄えると妙に納得した。 それではもう一度利用しようとスマホを手にしたところで目が覚めた。近い将来はマイカーやタクシーが存在しない時代になっている? 本紙のみならずタクシー業界紙もすべて消滅…?その時、義母から聞いた「ある日を境に、前日まで走っていた人力車が忽然と姿を消したのが印象的だった」との思い出話が脳裏をよぎり、思考が停止しかねない忘れな草の初夢となった。

<高橋 正信>

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次回Taxi Japan 360号 「 新年特集 2020年大予測 タク事業の将来展望左右する1年 あらゆる手段を講じ乗務員確保を」をお楽しみに!

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