論風一陣 ライドシェアはすでに全面解禁の実態!(Taxi Japan 465号より)

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「ライドシェアはすでに全面解禁されている!」

衝撃的な話を、都内タクシー事業者のK氏が切り出した。

話は、9月5日に開催された、サッカーFIFAワールドカップ・アジア最終予選の日本対中国戦に関してのことだった。日本代表が7I0で中国を下した勝敗はともかく、試合会場となった埼玉県さいたま市にある「埼玉スタジアム2002」(最大収容人員6万3700人)では当日、平日にもかかわらずに5万2398人が観戦し、大盛況となった。その試合終了後のことである。

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観戦を終えて帰ろうとしたK氏は、スタジアムを取り囲む周辺道路を埋め尽くして数百台規模で待機する白ナンバー車両の多さを見て愕然とした、という。多くの中国人サポーターが、アプリなどを介して在日の中国人らが運転する自家用車を本国でのネット決済で配車し、日本ではそうした白タク行為が違法だと知ってか知らずか、現地では平然と中国人サポーターらが配車した自家用車に乗り込んで行く姿が、そこかしこで繰り広げられていたのである。まさにこれが、日本国内における”中国経済圏“の実態である。

たまに成田空港などで違法白タク行為が摘発されており、イタチごっこの状況は承知していたが、国内において一度に数百台規模で”中国版ライドシェア“用の自家用車が集結して、瞬く間に中国人サポーターを乗せて一斉に霧散していく壮観な風景は、タクシー事業者のK氏も度肝を抜かれ、「ライドシェアはすでに全面解禁されている」と、筆者に強く訴えて来たのだった。

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問題は、中国を経由して日本国内での配車予約と決済を完了させるようなアプリを使用していることから、道路運送法上の違法な白タク行為を摘発する一つの判断材料となる日本国内での運送対価のやり取りが存在しないことだ。当然、消費税を含む国内での税金の対象にもならない。このことは、中国人らによる日本国内での経済行為に対し、単に道運法上の違法な白タク行為に止まらず、脱税行為をも容認することになり、法治国家たる日本の主権および国益を著しく侵害していることに他ならない。

我が国を法治国家というなら、優先順位は、主権や国益を侵害する違法ライドシェアをまずもって掃討することではないか。そのために外交ルートを使って中国当局に日本国内での違法ライドシェアの抑止策や自国民に対する広報・啓蒙活動を強力に要請すべきであり、それを抜きにライドシェア新法の中で違法ライドシェアにも網をかけようとの考えは、初めにライドシェア解禁ありきと指摘されても仕方がない次第である。

自民党総裁選挙で石破茂・衆院議員が次期総裁に選出され、10月1日に内閣総理大臣に指名されて新政権を担ことになったが、岸田政権におけるライドシェア解禁論議、そして新法成立を金科玉条が如く進めている規制改革推進会議の成り行きを改め、まずもって日本の主権と国益侵害の違法ライドシェアをとにもかくにも撲滅する取り組みを早急に徹底してもらいたい。そのことこそが物事を進めていく上での手順であり、道理をわきまえた対応というものではないか。

(高橋 正信) 


次回Taxi Japan 466号 をお楽しみに!

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