論風一陣 清水港のクルーズ船タク手配の可能性!(Taxi Japan 484号より)

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筆者は、今月7月6日(日曜日)午前7時30分から同9時45分までの間、静岡市清水区の清水港・日の出埠頭におけるクルーズ船対応の観光タクシー手配の実際を取材した。

同日に入港したのは、ノルウェージャン・スピリット号(バハマ船籍のアメリカ客船、総トン数7万5904トン、旅客定員・約2000人、乗組員・約1000人)で、入港時刻が午前7時、出港は午後5時というスケジュール。観光タクシーのチャーターは、大型観光バスによる事前に予約している乗船客を除いた、フリーの下船客が対象。その清水港におけるタクシー手配事業は、コロナ禍の収束によってクルーズ船の来航が復活した2023年10月に清野吉光氏が代表理事を務める一般社団法人静岡TaaSによって開始され、その後、株式会社静岡TaaSトラベル(静岡TaaSの清野吉光・代表理事および東海電子ホールディングスの杉本哲也社長の二人代表、静岡市葵区)に引き継がれ今日に至っている。

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静岡TaaSトラベルでは、タクシー観光コースの案内やクレジット決済、そしてタクシー乗務員への観光コース指示と乗客の乗車案内などの業務を、英会話が堪能なスタッフ全員で分担して行っており、手際のよい働きぶりに感心させられた。スタッフは、清野代表を含めて7人。また、タクシー待機場の誘導や交通整理などを担当していた2人は、静岡県タクシー協会清水支部などからの派遣とのことで、これらの人員で日の出埠頭の現場は構成されていた。

当日は、取材の間に3回以上タクシー乗り場にタクシーがなくなる場面が見られ、慌てた乗り場誘導の担当者が、待機場に駆け込んで入構を促す場面があった。静岡TaaSトラベルの清野代表によると、当日の貸切タクシー手配の実績については、「過去最高の取扱高だった」とのこと。早朝7時20分には最初の手配を受け付け、最終は昼前の11時28 分。僅か4時間で合計51件169人の手配実績だったとのこと。

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一般社団法人静岡TaaSでは、国土交通省の令和7年度共創モデル実証運行事業プロジェクトに応募した「クルーズ船寄港時の空白解消とインバウンドタクシー観光のアップデート」が採択されており、当該地区のタクシー100台に車載タブレットを設置し、タクシー車両の位置や動態を一元的に把握することで、クルーズ船客への配車対応不能を解消する計画だ。

大型クルーズ船が入港する全国の主要港において、貸切タクシー手配事業を組織的に担う主体が存在していない。今後、清水港における静岡TaaSトラベルの事業をケーススタディーとして、同様の取組が全国の主要港に拡大する可能性を今回の取材で感じた次第である。

(高橋 正信)


次回Taxi Japan 485号 をお楽しみに!

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