8月下旬のウィークデイの夜。筆者が住まいする東京都新宿区神楽坂下の外堀通り交差点では、客待ちするタクシーが両方向に列を作っていた。コロナ禍当時の長蛇の車列と比べると小規模とはいえ、常時7〜8台が停車していた。
アフターコロナ禍の堰を切ったような特需とタクシー稼働率の回復遅れで、神楽坂下交差点での客待ちタクシーの車列など、とんと目にしなかったので驚いた。そして9月に入っても、夜の神楽坂下交差点での客待ちタクシーの車列は、常態化しているように感じた。一部では、タクシーの利用度が、景気の先行きを占うバロメーターになるという話はこれまでも言われてきた。
そんな折、交通資料社(二村好彦社長、東京都荒川区)から毎月送付いただいている表題「東京特別区・武三法人輸送実績」の各社別タクシーデータ一覧表の8月分を受領し、内容を前月7月分と比較チェックしてみた。
結論からいうと、8月は大手企業を中心とした長期休暇の影響で都内の法人需要が落ち着く時期ではあるものの、タクシー輸送実績の認可保有車両1台当たり及び稼働1台当たりの日車営収はいずれも前月実績から目に見えて落ち込んでいることが明らかであった。認可保有1台当たりの日車営収ランク一覧表(190社)で具体的にみていく。
まず、1位と10位の8月分営収と同稼働1台当たりの営収(カッコ内は7月実績)は、1位7万0959円(7月分=7万1835円)、7万9720円(7月分=8万0620円)、10位6万0649円(6万4696円)、7万5892円(8万4066円)と営収上位も前月割れを起こしている。同時に営収中堅や下位をみてみよう。中堅ランクの100位4万1699円(4万4251円)、5万7853円(6万5156円)。下位ランクの170位2万4796円(2万5956円)、5万1152円(5万4159円)などと上・中・下いずれのランクも全体として営業収入の退潮傾向を示しているといえる。神楽坂下交差点の客待ちタクシー車列は、それを物語っていたのであった。
一方で、都内特別区・武三地区のタクシー乗務員数は、コロナ禍前の2020年3月末時点で5万8257人、これに対して8月末現在では5万4477人(充足率93・5%)となっており、コロナ禍前の稼働率に戻りつつある中で、さらに台当たり営収の下落が想定される。同時に、国内政治の不安定化で有効な経済対策が打ち出せていないことや、諸物価高騰による家計圧迫感は、一般消費を減退させている。
いずれにしても、自民党総裁選挙が10 月4日に投開票され、新政権が誕生する。ライドシェア旋風の再来を警戒しつつ、経済対策のすみやかな 実行も注視したい。
(高橋 正信)
次回Taxi Japan 489号 をお楽しみに!

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