MaaSを中心としたドイツとスウェーデンの公共交通事情 (Taxi Japan 352号より)

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第4回ドイツ鉄道とベルリンの交通連合 MaaSアプリ「DBナビゲーター」

ドイツにおけるMaaSの取り組みは、鉄道系と自動車系、その他の独立IT系に大きく3分することが出来るが、鉄道系MaaSの中心がドイツ鉄道だ。ドイツ鉄道(Deutsche Bahn、DB)は、日本のJRに相当する鉄道会社で、東西ドイツ統一後の1994年に西ドイツ系のドイツ連邦鉄道と東ドイツ系のドイツ国鉄が合併した上で民営化されたヨーロッパ最大級の鉄道会社だ。

Taxi Japan誌の熊澤義一編集長は、ドイツ第二の都市で北の玄関口であるハンブルクから大聖堂で有名なケルン経由でドイツ西部のデュッセルドルフへ。デュッセルドルフから国土を横断してドイツ東部の中心都市である首都のベルリンへ。さらにベルリンから南下して第三の都市で、世界有数の観光地でもあるロマンティック街道や古城街道などへの観光拠点となるミュンヘンへと、ドイツ国内での移動にドイツ鉄道の都市間高速特急列車ICEを利用したが、その際にはドイツ鉄道が運用するMaaSアプリ「DBナビゲーター」を活用した。

ドイツ鉄道のMaaSアプリ「DBナビゲーター」では、ドイツ鉄道が運行する列車のほか、ドイツ国内の各都市における交通連合とも連携することで、都市間移動はドイツ鉄道、そこから先の都市内移動は各都市の交通連合に加わる路線バス、路面電車、地下鉄(U-Bahn)、ドイツ鉄道運行の近郊列車(S-Bahn)などが、アプリ上で経路検索・予約・発券・決済まで行えるほか、カーシェアリングやレンタル自転車なども予約や決済の対象に加えている。このため、ドイツ国内での基本的な移動であれば、MaaSアプリ「DBナビゲーター」のみで十分という利便性の高さを実感した。

また、首都のベルリンでは、ベルリン市の交通局が市内東部の交通不便地域における「ラスト・ワンマイル」の問題を解消するため、相乗り型ライドシェア配車アプリを展開するアメリカのVia社とメルセデスベンツバンの合弁会社であるVia Van社と提携して、6人乗りワンボックス車両を使用したオンデマンド型相乗りライドシェアの「BerlKönig(ベルケーニッヒ)」の運行を開始していたが、そこにベルリンのタクシー業界は関与できていない状況だった。日本でも同様の取り組みが進む可能性は大きく、ドイツのように「蚊帳の外に置かれる」ことがないようにするためにも、日本のタクシー業界ではオンデマンド型相乗りサービスの受皿作りを準備しておく必要性はあるだろう。

<Taxi Japan誌編集長=熊澤 義一>

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上下分離でオープンアクセス


ドイツ鉄道(Deutsche Bahn、DB)は、日本のJRに相当する鉄道会社で、東西ドイツ統一後の1994年に西ドイツ系のドイツ連邦鉄道と東ドイツ系のドイツ国鉄が合併した上で民営化した鉄道会社だが、日本の国鉄ように民営化に当たって経営が地域分割されずにドイツ全土を単一運営している。ただし民営化されたといっても株主はドイツ連邦政府のみであり、純粋な民営鉄道会社とは言えない。

ドイツ鉄道の民営化に当たっては、さらに線路や駅施設などの鉄道インフラを管理する組織と列車の運行・運営を行う組織を分ける上下分離方式を導入、さらに1999年にはドイツ鉄道は持株会社制に移行し、長距離鉄道運営会社、地域鉄道運営会社、貨物鉄道運営会社、駅運営会社、線路・インフラ保有会社のように、機能ごとに組織が分割された。

ドイツ鉄道の民営化では、鉄道事業を上下分離した上で、一般鉄道法により新規参入会社にも線路使用を認めるオープンアクセス制度を導入。この仕組みを利用して、地方自治体が軽量ディーゼル車両を購入して採算性の低いローカル列車を運行するケースが増えているほか、高速バス大手のFlix Busが需要の多い都市間路線に独自の列車を走らせている。

MaaSアプリ「QIXXIT」


本紙編集長は、ドイツ国内を網の目のように結ぶドイツ鉄道の特急列車ICEなどを利用して、ドイツ第二の都市で北の玄関口であるハンブルクから大聖堂で有名なケルン経由でドイツ西部のデュッセルドルフへ。デュッセルドルフから国土を横断してドイツ東部の中心都市である首都のベルリンへ。さらにベルリンから南下して第三の都市で、世界有数の観光地でもあるロマンティック街道や古城街道などへの観光拠点となるミュンヘンへと鉄道で移動した。

ドイツ鉄道の利用に当たっては、ドイツ鉄道が運用するMaaSアプリ「DBナビゲーター」を活用した。

ドイツ鉄道系のMaaSアプリとしては「DBナビゲーター」のほか、「QIXXIT(キシット)」が知られている。「QIXXIT」は、2013年にドイツ鉄道が市場投入した都市間・国際間輸送に対応するマルチモーダル型の統合モビリティサービスプラットフォームで、アプリ上で、鉄道だけでなく、飛行機や長距離バスも含めた統合的な経路検索と予約・決済が国境をまたぐ長距離移動にも利用できる高機能なMaaSアプリだ。

現在は、ドイツ鉄道から完全に独立してアプリが運営されており、ドイツの都市内移動の分野から撤退するとともに、都市間・国際間輸送に特化している。

例えば、本紙編集長がミュンヘンから自動車大手のダイムラーベンツが本社を置くシュツットガルトへの移動(移動距離は約230キロ)を検索した際には、高速バス、鉄道、航空機の3つの移動パターンが提示され、価格優先で高速バス大手Flix Bus運行の高速バスなら所要時間3時間10分で往復19.98ユーロ(1ユーロ=約119円、約2378円)、移動時間優先のルフトハンザドイツ航空運行の航空機なら所要時間45分で往復189.63ユーロ(約2万2566円)が表示され、高速バス、航空機ともに、検索から予約・発券・決済まで行える仕様となっていた。

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MaaSアプリ「DBナビゲーター」


ただ、ドイツ国内の移動を鉄道中心で行った本紙編集長にとって、より利便性が高いと感じたのはドイツ鉄道のMaaSアプリ「DBナビゲーター」だった。

MaaSアプリ「DBナビゲーター」は、2009年にドイツ鉄道が市場投入したマルチモーダル型の統合モビリティサービスプラットフォームで、当時はMaaSという概念は無かったものの、鉄道を中心として様々な公共交通機関を便利に利用するために経路検索から予約・発券・決済までが出来るサービスとして登場。

MaaSアプリ「DBナビゲーター」では、ドイツ鉄道が運行する列車のほか、ドイツ国内の各都市における交通連合とも連携することで、都市間移動はドイツ鉄道、そこから先の都市内移動は各都市の交通連合に加わる路線バス、路面電車、地下鉄(U-Bahn)、ドイツ鉄道運行の近郊列車(S-Bahn)などが、アプリ上で経路検索・予約・発券・決済まで行えるほか、カーシェアリングやレンタル自転車なども予約や決済の対象に加えている。

ドイツ各都市で交通連合


ドイツ国内では、首都のベルリンのほか、ハンブルク、ミュンヘンなど主要な大都市で交通連合が組織されている。交通連合は、路線バス、路面電車、地下鉄(U-Bahn)、ドイツ鉄道運行の近郊列車(S-Bahn)、一部の旅客船などが地方自治体の交通局が中心となってそこに民間交通事業者などが加わる形で組織されており、参加交通事業者が共通運賃制度と共通乗車券を採用することで、事業主体の違いや輸送モード間の垣根を意識させない乗り継ぎの実現などを通じて利便性の高い近距離公共交通サービスを市民やビジネスマン、観光客などに提供している。

MaaSアプリで1日乗車券


MaaSアプリ「DBナビゲーター」では、都市間交通を担うドイツ鉄道と各都市の交通連合が連携することで、例えば本紙編集長の例では、MaaSアプリ「DBナビゲーター」でデュッセルドルフからベルリンまで(移動距離は約570キロ)乗車する特急ICEの乗車券を予約して発券、アプリに登録してあるクレジットカードで決済。アプリ上で座席指定なども行った。運賃は119ユーロ(約1万4160円)だった。

さらに、目的地のベルリン中央駅に到着すると、MaaSアプリ「DBナビゲーター」でベルリンの交通連合であるVBB(ベルリン=ブランデンブルク交通連合)を選択し、ベルリン郊外型(ゾーンAB)の1日乗車券をアプリ上で購入した。ベルリン市内を中心に交通連合が運行するゾーン内の地下鉄のほか、路線バスや路面電車、ドイツ鉄道運行の近郊列車などが乗り放題となる1日乗車券の運賃額は7ユーロ(約833円)だった。

スマートフォンにインストールしたMaaSアプリ「DBナビゲーター」だけで、ドイツ西部のデュッセルドルフから約570キロも離れたドイツ東部にある首都ベルリンまで特急列車で移動し、そのまま訪問都市の1日乗車券が同じアプリで発券して決済まで出来るMaaSとしての利便性は、訪問地に不案内な旅行者やビジネスマンほど、現地での移動に対する不安から解消されて利便性が高いと感じた。

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ドイツの28都市で交通連合


MaaSアプリ「DBナビゲーター」から選択できる交通連合には、アーヘン、アウグスブルグ、ベルリン、ブレーメン、ドレスデン、フライブルク、ハンブルク、ハノーファー、ハイルブロン、カールスルーエ(バーデンバーデンなど)、ケルン(ボンなど)、レラハ、マクデブルク、ミッテルテューリンゲン、ミュンヘン、ニュルンベルク、オルテナウ(オッフェンブルクなど)、レーベンスブルク、トリアー地域、ラインヘッセン、ライン=メイン(フランクフルトなど)、ライン=モーゼル、ライン=ネッカー(マンハイムなど)、ライン=ルール(デュッセルドルフなど)、ロストック、シュレースヴィヒ=ホルシュタイン、シュツットガルト、ヴェストファーレンの28があり、ほぼドイツ全土の主要都市を網羅している。

MaaSアプリ「DBナビゲーター」があれば、ドイツ鉄道で訪れる目的地となるこれらすべての都市圏や都市内の路線バス、路面電車、地下鉄、近郊鉄道などの公共交通の乗車券を発券して決済することが可能だ。

鉄道系MaaSの先行モデル


日本でも、JR各社や大手私鉄などの鉄道事業者が本格的な鉄道会社主導のMaaS構築に向けた動きを始めており、先行するドイツ鉄道の取り組みは、各交通モード間の連携の必要性などMaaSが提供する利便性のあり方を考える上での参考モデルになりそうだ。

首都ベルリンの交通連合


本紙編集長がMaaSアプリ「DBナビゲーター」で1日乗車券を発券した、ベルリン=ブランデンブルク交通連合には、ベルリン市内の地下鉄(U-Bahn)10路線のほか、路線バスや路面電車、ドイツ鉄道運行の近郊列車(S-Bahn)などが加わり、これらの公共交通機関のすべてが共通の運賃制度と共通の乗車券で運用されている。

このため、交通連合の乗車券を一度購入すれば、あとは適用となるゾーン内の一定の時間内であれば乗り継ぎ自由の乗り放題となる。例えば、郊外の最寄り駅で交通連合の共通乗車券を購入すれば、ドイツ鉄道運行の近郊列車でベルリン中心部に向かい、ベルリン中央駅で路面電車に乗り換え、さらに地下鉄、路線バスと乗り継いで目的に向かうことも可能だ。

ドイツでは、首都ベルリンでも鉄道や地下鉄などで改札設備の無い信用乗車方式(たまに抜き打ち的に係員が乗客の乗車券を確認し、乗車券を持っていない場合には高額の罰金)で運用されており、共通運賃制度による共通乗車券も、発券から一定時間が有効となるゾーン制(例えば、都市中心エリア内のみの移動ならゾーンAのチケット、郊外を含む場合にはゾーンABやABCなどのチケット)の運賃制度を採用している。

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首都ベルリン人口361万人


ドイツの首都ベルリンは、1945年の第二次世界大戦でのドイツ敗戦後は米英仏ソの4ヵ国に分割占領されていたが、1949年に米英仏の占領地区がボンを首都としてドイツ連邦共和国として独立すると、ソ連占領地区がベルリン(東部地域)を首都としてドイツ民主共和国となり、米英仏が占領を続ける西ベルリンは東ドイツ内の飛び地となった。その後、東西冷戦が終結すると、ドイツ民主共和国(東ドイツ)の各州がドイツ連邦共和国(西ドイツ)に併合されたことで、1990年に東西ドイツが統一。東西が統一されたベルリンにドイツ連邦共和国の首都が遷された。

ドイツは、都市や産業が各州に分散しており、地方分権が進展した州を中心とした連邦国家ということからも、首都東京への一極集中が進む日本とは国柄が大きく異なる。このため、首都ベルリンの人口はドイツの都市では最も多いものの約361万人で、約375万人の横浜市より若干少ないという規模だ。

ベルリン市内には、10路線ある地下鉄(U-Bahn)のほか、路線バスや路面電車、ドイツ鉄道運行の近郊列車(S-Bahn)などもあり、公共交通の利便性は高い。ただし、ドイツ統一後30年近く経過しているもの、いまだに公共交通の利便性などの面でも東西間格差は存在している。

ベルリンのタク約7000台


ドイツ国内のタクシーはクリーム色の車色に黄色の屋上表示灯というスタイルで統一されており、使用車種も伝統的にメルセデスベンツのCクラスが多い。ダイムラーベンツがタクシーを含む商用車に力を入れて来た歴史的経緯も影響しているようだ。

ベルリン市内には約7000台のタクシーが運行しているが、「タクシーベルリン」などのベルリンに7つほどある配車センターと個人タクシーが契約しているような形態で、運賃はイニシャルチャージとして初乗りが3.9ユーロ(約464円)、これに距離運賃として7キロまでが1キロごとに2ユーロ(約238円)、7キロを超えると1キロごとに1.5ユーロ(約178円)となる遠距離逓減制。

ドイツには中近東や東ヨーロッパなどからの移民労働者が大量に流入して社会問題にもなっているが、こうした移民労働者がタクシーなどの運転を担っている側面もあり、タクシー運転者はほとんどが移民労働者で、本紙編集長が配車アプリ「フリー・ナウ」(ダイムラーベンツ傘下のタクシー配車アプリ「マイ・タクシー」がBMWの配車サービスと統合したもの)を利用して乗車したタクシーの運転手はトルコからの出稼ぎ労働者だった。乗車中に日本の四季の話をするなど愛想の良い運転手だったこともあり、配車アプリ「フリー・ナウ」の使い勝手も含めてタクシーの乗車体験そのものは過不足の無いものだった。しかし、ベルリン市内では駅乗り場などに集中する空車タクシーが目立ち、MaaSなどの取り組みによる公共交通機関の利活用が進み、電動キックボードや電動アシスト付自転車などのシェアリングサービスが拡大していく中で、「タクシーが蚊帳の外に置かれているのではないか」との懸念を強く感じた。

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ベルリンでもUBER Xが運行


そうした状況の中で、ベルリン市内でも運転手付レンタカーの制度を利用したUBER Xが運行していた。ドイツ国内では自家用車ライドシェアが禁止されていることもあり、運転手付レンタカーの制度を利用したUBER Xにはタクシー業界などが強く反発、ケルンやデュッセルドルフでは本来の運転手付レンタカーの制度が遵守されていないとして訴訟も起きている。

本紙編集長は現地において一般のタクシーに加えて、運転手付レンタカーの制度を利用したUBER Xにも乗車した。UBER Xでやって来た車両は、黒色のメルセデスベンツCクラスで、こちらも運転手はトルコからの出稼ぎ労働者だった。

タクシーとの違いで大きいと感じたのは、運賃水準の問題もあるが、それよりもUBERは事前確定運賃だが、タクシーは降車地まではっきりとした運賃額が分からないメーター料金だったことで、ライドシェア対策という意味でも、やはり日本でも早急に事前確定運賃をタクシーで普及させるべきだと感じた。

UBERが電動アシスト付自転車


また、ベルリンでは、UBERアプリから電動アシスト付自転車のシェアリングを利用することが出来た。ベルリンでは、UBERが、ライドシェア車両やタクシーなどの配車アプリから、新たなモビリティサービスである電動アシスト付自転車のシェアリングサービスにも進出していた。

UBERアプリでライドシェア車両やタクシーなどを呼ぶほどでもない数百メートルから1~2キロ程度の距離であれば、電動アシスト付自転車や電動キックボードのシェアリング利用で十分なケースは、特に都市部では十分に想定されることから、UBERもこうしたモビリティサービスの分野への進出を図ったのだろう。

本紙編集長もUBERアプリから電動アシスト付シェア自転車(ブランドはJUMP)を利用した。電動アシスト付シェア自転車の位置はアプリの地図画面上で確認でき、さらに乗り捨て自由の運用をしていることや、すぐに時速20キロ程度に到達する強力なアシスト力もあり、ベルリン市内中心部でのちょっとした移動に使うには非常に便利だった。

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自転車専用走行路が整備


また、ドイツの都市では自転車専用の走行路が整備されており、都心部の道路でも自動車、自転車(電動キックボードなども含む)、歩行者の通行路が明確に区分されているケースが多く、安心して電動アシスト付自転車や電動キックボードを利用することが出来た。(画像 自転車走行路①、②、自転車専用信号)

一方で、日本では、法規制のあり方と実態が大きく乖離しているケースが目立ち、法規上は車道を走らなければならない自転車は、都市の輻輳した道路環境を考えれば実際はとても危険であり、車道を避けて歩道を走行する自転車の姿が散見されるのが日本の都市の実情だ。同じく現行の法規制上は原動機付自転車(原付)の扱いとなる電動キックボードが日本の都市で普及する姿など、想像することさえ困難だ。根本的な都市道路環境の見直しが必要だろう。

1ヶ月乗り放題の乗車券も


ベルリン市内では、ベルリン市交通局(BVG)が、ベルリン=ブランデンブルク交通連合(VBB)と連携した独自のMaaSアプリを運用しており、本紙編集長もベルリン市内や近郊のポツダム市などとの往復に1日乗車券をアプリ上で発券、決済して利用した。

さらにベルリン市交通局(BVG)のMaaSアプリでは、交通連合に参加するゾーン内の地下鉄(U-Bahn)、路線バス、路面電車、ドイツ鉄道運行の近郊列車(S-Bahn)などが1週間乗り放題(30ユーロ=約3570円)、1カ月乗り放題(81ユーロ=約9640円)となるサブスクリプション的な乗車券も用意されており、アプリ上で発券し、決済することが出来るようになっている。

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オンデマンド型相乗りを運行


また、ベルリン市交通局(BVG)では、専用配車アプリを開発して旧東ドイツ地域に当たるベルリン市内東部の交通不便地域における「ラスト・ワンマイル」の移動の足の確保のため、オンデマンド型相乗りライドシェアとして6人乗りの「BerlKönig(ベルケーニッヒ)」を運行。配車運行は、相乗り型ライドシェア配車アプリを展開するアメリカのVia社とメルセデスベンツバンの合弁会社であるVia Van社が担っている。

配車システムは、Via社が提供するAI活用のオンデマンド型、アプリ上に表示される乗降ポイントから乗車する方式で、相乗りによりタクシーとバスの中間的な運用が行われる。運賃は、1キロ当たり1.5ユーロ(約179円)だが、乗車距離に関わらず最低運賃として4ユーロ(約476円)が設定されている。

ベルリン市交通局がVia Van社と提携して運行するオンデマンド型相乗りライドシェアの「BerlKönig(ベルケーニッヒ)」は、6人乗りワンボックスタイプのメルセデスベンツの車両にVia社のオンデマンド型相乗り配車システムを組み合わせたもので、ベルリン市内東部の交通不便地域から駅などの交通結節点までの利用を想定している。このため、配車エリアもアプリ上で明示している。

蚊帳の外に置かれない


様々な交通手段を連携させるMaaSの取り組みは、その過程で移動手段の不在や不足を顕在化させる側面を持っており、公共交通の利活用促進に取り組むベルリン市の交通局が専用アプリを開発する形で、6人乗りワンボックス車両を使用したオンデマンド型相乗りライドシェアの「BerlKönig(ベルケーニッヒ)」の運行を開始していたが、そこにベルリンのタクシー業界は関与できていない状況だった。日本でも同様の取り組みが進む可能性は大きく、ドイツのように「蚊帳の外に置かれる」ことがないようにするためにも、日本のタクシー業界ではオンデマンド型相乗りサービスの受皿作りを準備しておく必要性があるだろう。

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次回Taxi Japan 353号「論風一陣 受け入れられない「合成の誤謬」の詭弁!」をお楽しみに!

Taxi Japan最新号は公式サイトでご覧いただけます。

日本タクシー新聞社の発行する、タクシー専門情報誌「タクシージャパン」は毎月10・25日発行。業界の人が本当に求めている価値ある情報をお届けするおもしろくてちょっとユニークな専門紙です。