北九州でタク乗務員がコロナ感染 政府は起業支援対策を本格実施へ (Taxi Japan 363号より)

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首相官邸

新型コロナウイルスの感染拡大が、日本の経済社会に深刻なマイナスの影響を与えている。インバウンド需要の激減に加え国内旅行にも自粛ムードが広がり、全国各地の観光産業に大きな打撃を与えており、さらに大型イベントの中止や大企業を中心としたテレワークの拡大、外出の自粛や高齢者が通院を控える傾向も強まっており、その結果、タクシーについても全国で深刻な需要減と営収減に見舞われている。地方の観光地では「営収は通常時の半分」との声が出ており、都市部においても20~30%の営収ダウンとなっている。新型コロナウイルス感染拡大の終息時期にメドが立っていないこともあり、タクシー業界においても公的な緊急支援対策を求める動きが強まることになりそうだ。

福岡県北九州市では、第一交通産業の曽根営業所に勤務する60歳代の乗務員の新型コロナウイルスに感染が判明した。

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政府は新型コロナの緊急対策


安倍総理大臣は3月7日、都内千代田区の総理大臣官邸で第18回新型コロナウイルス感染症対策本部を開催。

安倍総理大臣は「経済の面においては、雇用の維持と事業の継続を、当面最優先に全力を挙げて取り組む」としながら、「大変厳しい状況に置かれている全国の中小・小規模事業者の皆さんに、しっかりと事業を継続していただけるよう、資金繰りについては、これまでの前例に捉われず、強力な支援策を講じる」とした。また、第二弾の緊急対応策について、①感染拡大防止策と医療提供体制の整備、②学校の臨時休業に伴って生じる課題への対応、③事業活動の縮小や雇用への対応、④事態の変化に即応した緊急措置――などを柱として取りまとめ、10日に発表する考えを示した。

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3月19日まで自粛要請継続


3月9日に開催された、新型コロナウイルス対策の専門家会議のメンバーによる記者会見では、現在行われている大規模イベントの自粛や全国の学校に対する一斉休校要請などを3月19日まで継続する考えが示され、北海道での緊急事態宣言を受けた対策などの効果を分析した結果を踏まえ、3月19日にさらに現在の対策を継続する必要があるかどうかなど、今後の方向性についてまとめる考えを示した。

専門家会議のメンバーで日本感染症学会の舘田一博理事長は「新型コロナウイルスはインフルエンザのように暖かくなると消えてしまうものではなく、半年、1年を超えて対応を続けなければならないと考えている。ウイルスの特徴を理解し、感染を広げないためにどのように行動を変えていけばよいのか、多くの人に考えてもらう必要がある」としている。

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会社を消毒

北九州でタク乗務員が感染


福岡県北九州市では、第一交通産業の曽根営業所(タクシー26台、従業員48人)に勤務する60歳代の乗務員の新型コロナウイルスに感染し、同社の田中亮一郎社長が緊急の記者会見を開いて概要を説明して情報を公開。田中社長は「市全体への影響を考慮し、皆さんに迷惑をかけないようにするため、今回情報を公表した。感染防止対策を会社として納得できるまでやっていきたい」などと述べるとともに、曽根営業所を2週間営業停止にするとともに従業員には自宅待機を指示した。

この乗務員は2月14日に体調不良から医療機関を受診、通常のインフルエンザとして診断されて自宅療養。症状が改善したことから2月21日、22日、24日の3日間、昼日勤で乗務して30回の輸送を行ったが、その後に再び体調が悪化し、医療機関を受診したところ3月1日になって新型コロナウイルスに感染していることが判明した。

これを受けて、第一交通産業では情報公開に踏み切り、30組の乗客のうち連絡先が判明した25組の乗客には事情を説明、残る5組の乗客については乗降車地点の情報を公開することで連絡を呼び掛けている。

また、曽根営業所やタクシー車両の消毒作業の様子をマスコミを通じて公開し、さらなる感染拡大の防止とタクシーへの風評被害対策として、同社の行った迅速な情報公開やその後の取り組みが今後の参考例にもなりそうだ。

タクシーを消毒

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次回Taxi Japan 364号 をお楽しみに!

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