論風一陣 ロイヤルのタク運賃改定見送りの波紋!(Taxi Japan 423号より)

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ロイヤルリムジングループ(金子健作代表)のロイヤルリムジン(金子健作社長、都内江東区)とジャパンプレミアム東京(堀江一誠社長、都内中央区)の2社は11月11日、東京都特別区.武三地区の14.24%のタクシー運賃改定に反対の意思を表明し、新運賃の公定幅ではない従来の運賃(初乗り1.052キロ420円)をそのまま維持する内容で東京運輸支局に届け出た。

ロイヤルリムジンGでは、自社のホームページ上に11月17日付で金子代表による「公定幅ではない運賃届け出と受理のお知らせ」を掲出。「タクシー公定幅運賃の14%値上げに対して反対の意思を表明し、公定幅ではない従来どおりの運賃を東京陸運支局に届け出し、この度受理された」としている。

その中で、①コロナによって傷んだ経済が回復していない中で、インフレ率を大幅に超える14%のタクシー公定幅運賃の値上げは、お客様の理解を得られない②グループでは、繁忙時にタクシー車両が足りない状態で、予約を中心として営業をしているジャパンプレミアムでは、1日1台あたりの売上が業界平均を大きく上回る7万円まで回復して、適正な利潤が取れている③値上げに頼らず、現行の初乗り運賃420円を維持し、アルファードを中心としたハイグレード車両の導入や創意工夫を凝らしたサービスを徹底し、新しい需要を開拓して、収益改善と乗務員の待遇向上を図っていくIなどと運賃値上げに反対して見送ることにした理由を明らかにしている。

ロイヤルリムジンGの値上げ見送りに、運輸当局は、公定幅運賃に入るように「指導、勧告、変更命令」の段取りを踏む方向だ。本欄では再三、東京都特別区.武三地区における原価計算対象事業者の実働日車営収が全事業者集計よりも下回っている実情を報じてきた。今回、新たに選定された原価計算対象事業者が提出する経営数値によって運賃改定率の算定が行われたが、これまでの経緯を見れば全事業者の実態に対して過度な改定率となった可能性は否定できない。ロイヤルリムジンGがインフレ率を大幅に超える改定率になっているとの指摘に、運輸当局はどのように反論するのか。

さらに「適正利潤が取れている」というロイヤルリムジンGに、運輸当局が値上げとなる公定幅への届け出をどのように「指導、勧告、変更命令」するのか。法規を盾にした杓子定規というだけでない、説得力のある説明が出来るのか。原価計算対象事業者の選定にしても、運輸当局がもっともらしい基準に沿って選定したというのであろう。しかし、先に指摘したような全事業者の実働日車営収が原計対象事業者のそれを過去何年間も上回り続けている実態をみれば、そのツケがロイヤルリムジンGの値上げ見送りで浮上しているといえまいか。今後、運輸当局がロイヤルリムジンGの値上げ見送りにどのように対応していくのか注視していきたい。

(高橋 正信)


次回Taxi Japan 424号 をお楽しみに!

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