論風一陣 新型コロナ第8波拡大に細心の注意を! (Taxi Japan 422号より)

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厚生労働省は11月9日、新型コロナウイルス対策を助言する専門家組織「アドバイザリーボード」の会合を開き、感染状況を分析した。その中で加藤勝信厚生労働大臣は、感染者数の拡大傾向が続くとして「『第8波』につながる可能性がある」と警戒感を表明。すでに北海道は、9日の感染者数が9545人と、2日連続で過去最多を更新している。それを踏まえて加藤大臣は、「2週間後には前回のピークを超える可能性も想定している」と発言。感染対策の各種規制が撤廃される中で、日常生活への回帰である「アフターコロナ」に待ったをかけかねない懸念すべき事態で、感染拡大状況については目が離せなくなっている。

本紙では、2年前の2020年2月25日付362号で「新型コロナウイルス感染が拡大タクシー需要にも深刻な影響懸念」の巻頭特集を皮切りに毎号、コロナ関連情報を報道。本紙「論風一陣」欄でも「がんばれ!深刻な新型コロナウイルス禍に負けるな」(20年3月10日付363号)など、2020年に掲載した論風一陣のうち11本がコロナ関連で、論陣を張ってアピールしてきた。本紙では、まだこの時点では翌年を超えてコロナ禍による社会経済の毀損が長期化していくとは予想もしていなかった。さらに翌2021年は、21本中13本がコロナ関連だった。各種の行動制限が撤廃された2022年は18本中5本に減少している。

すでに論風一陣の表題「新型コロナによる社会経済崩壊の危機!」(20年6月10日付369号)では、「政府には経済活動をこれ以上抑制する要請や提言は、これまで自粛要請に真摯に応じてきた企業や国民を信頼してその発出を控えてもらいたい。対処方法を誤って社会経済を崩壊させてはならない」と結んだ。政府では、今後感染が拡大した場合でも極端な行動制限や営業自粛等は要請せず、従来からのマスク着用や手洗い、換気などの感染対策にとどめていく方針を表明している。

その背景にコロナワクチン接種の進捗がある。11月9日現在でワクチンを1回でも接種した国民は1億0429万8294人で全体の81.4%、2回が1億0294万2942人で80.4%、3回が8363万2588人で66.4%、そして4回も4317万1006人となっており、ワクチン接種は一見、進んでいるようにみえるが、中高年層が中心で、感染者全体の6割を30歳以下の若年層が占めていることから、各自治体では若年層へのワクチン接種推進に乗り出している。

改めて政府には、従前の科学的知見に乏しい、いかにも対策しているといわんばかりの自粛要請や提言は避け、社会経済を崩壊させることのないよう細心の注意を払った効果的な感染対策を求めたい。

(高橋 正信)

次回Taxi Japan 423号 をお楽しみに!

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