10月1日から政府の観光振興策Go Toトラベル・キャンペーンに東京が加わり、全国がGo Toトラベル事業の対象になるとともに、旅行代金の15%相当額が地域共通クーポンとして旅行者に配布されることになった。10月最初の休日となった3日(土)~4日(日)は、新型コロナウイルスの感染防止対策を取りながらも、全国の観光地を多くの旅行者が訪れて賑わいを見せた。
旅行代金の15%相当額となる地域共通クーポンは、旅行者1人1泊当たり6000円、日帰りなら3000円を上限として配布される。例えば、2泊3日の旅行なら、1人当たり最大1万2000円、2人なら最大2万4000円にもなる。
このため、新型コロナウイルス禍で深刻な需要減となり、緊急事態宣言の解除後も需要回復の足取りが重いタクシー・ハイヤー業界でも、需要喚起策としての地域共通クーポンを取り扱うための登録をする事業者が増えており、9月29日時点で、47都道府県の2116事業者(法人と個人の合計)となっている。
一方で、本紙編集長が宿泊した福島県いわき湯本温泉の旅館フロントで話を聞くと、地域共通クーポンが利用できる施設として、飲食店や土産物店、さらにはコンビニ店などを紹介されたが、タクシーの名前は出なかった。
利用促進のためにも、地域共通クーポンを配布する地元の宿泊施設などと連携して、タクシーでも地域共通クーポンが利用できることをフロントなどで告知してもらうことのほか、チラシの配置やポスターの貼付などの取り組みが必要だ。
〈本紙編集長=熊澤 義一〉
旅行代金15%相当のクーポン
10月1日から政府の観光振興策Go Toトラベル・キャンペーンに東京が加わり、全国がGo Toトラベル事業の対象になるとともに、旅行代金の15%相当額が地域共通クーポンとして旅行者に配布されることになった。
地域共通クーポンは、紙クーポンと電子クーポンの2種類があり、旅行代金の15%相当額が旅行会社や宿泊施設などにおいて1000円単位で配布される。旅行代金の15%に1000円未満の端数が生じる場合には四捨五入され、端数が5 0 0円以上の場合は1 0 0 0 円のクーポンになる。
例えば、1人2 泊3 日で5 万円の旅行代金なら、Go Toトラベル・キャンペーンで35% 分の1 万7 5 0 円が給付され、旅行者が支払うのは3 万25 0 0 円となる。さらに旅行代金の15%は7 5 0 0 円となるが、数が切り上げられて8000円分の地域共通クーポンが旅行者に付与される。クーポンは1000円単位で使用でき、釣銭は出ない。
地域共通クーポンは、主な旅行先の都道府県および隣接都道府県において、旅行期間中に限り使用可能となっている。旅行中の使用が前提だ。
全国タク2116事業者が登録
旅行代金の15%相当額(1人1泊当たり6000円、日帰りなら3000円が上限)という多額の地域共通クーポンが10月1日から配布され、さらに旅行期間中の使用が前提となっているため、地域共通クーポンの利用先として飲食店や土産物店などのほか、帰りの空港や駅などへの移動手段となるタクシーでの利用も期待されている。
このため、新型コロナウイルス禍で深刻な需要減となり、緊急事態宣言の解除後も需要回復の足取りが重いタクシー・ハイヤー業界でも、観光地を中心に需要喚起策としての地域共通クーポンを取り扱うための登録をする事業者が増えており、9月29日時点で、47都道府県の2116事業者(法人と個人の合計)となっている。
東京が最も多く152事業者、次いで北海道146事業者、大阪113事業者、兵庫88事業者、神奈川82事業者、広島71事業者、千葉69事業者、愛知64事業者、長崎64事業者などとなっており、沖縄は53事業者、京都は40事業者。
紙クーポンと電子クーポン
一方で、旅行会社や宿泊施設で配布される1000円単位の地域共通クーポンには、紙クーポンと電子クーポンの2種類があるが、電子クーポンの取り扱いにはQRコードへの対応が必要なことから、紙クーポンのみを取り扱うというタクシー事業者も多い。一方で、QRコード決済に対応するタクシー事業者では、紙クーポンと電子クーポンの両方を取り扱うところも目立ち、10月1日から旅行者への配布がスタートした地域共通クーポンに関しては、「電子クーポンと紙クーポンの両方に対応」、「紙クーポンのみ対応」、「地域共通クーポンは取り扱っていない」の3種類のタクシーが混在している状況だ。
第一交通は34都道府県で対応
日本最大のタクシー事業者である第一交通産業(田中亮一郎社長、福岡県北九州市)では、10月1日から全国34都道府県で展開するグループの約9000台のタクシーとバスで地域共通クーポンの取り扱いをスタートし、紙クーポン・電子クーポンの両方に対応する(沖縄本島の那覇バスと琉球交通バスの路線バス2社は、紙クーポンのみ。また、乗合タクシーやデマンドタクシーは対象外)と発表した。
赤羽国交大臣が記者会見
Go Toトラベル・キャンペーン事業について、赤羽一嘉国土交通大臣は10月6日の記者会見で、「10月1日木曜日より、東京を発着する旅行についても支援の対象に含めるとともに、地域共通クーポンの利用も開始させていただいた」としながら、「先週来、私自身も、首都圏からの旅行者が多く訪れる富山県並びに福島県を訪問し、現地で、観光関係事業者の皆さんと意見交換をした。9月の4連休を含め10月以降、宿泊の予約状況も大変好調であるといった発言や、観光施設への入場者数も増えた、また、地域共通クーポンが始まったことでお土産も随分売れるようになったなど、本事業に対して大変前向きな評価を多くいただいた。現実に、観光地の富山、福島の人出も大変多く、観光需要の回復と地域消費の活性化の効果が徐々にではありますが出てきているものと私も実感した。特に、地域共通クーポンは、旅行先の地域での消費を喚起する目的で導入したものだ」とした一方で、「まだまだ団体旅行の予約は本格化していないことや、高齢者の動きがまだ少ない、移動の手段がマイカー中心で公共交通機関の利用が少ないので、是非、公共交通機関、鉄道等のパッケージなども作っていかなければいけない、といったような声も聞かれた」などと述べた。
宿泊施設との連携が必要
本紙の熊澤編集長は、10月から地域共通クーポンの取り扱いがスタートしたことを受けて、10月2日( 金) ~10月4日( 日)にかけて、福島県いわき市のいわき湯本温泉を拠点に、秋の紅葉を迎えつつあった福島県内の磐梯吾妻スカイライン・浄土平、山形県と宮城県の県境にある蔵王エコーライン・ハイライン・お釜などを巡ったが、多くの観光客で賑わっていた。
宿泊先の、福島県いわき市のいわき湯本温泉の旅館では、チェックイン時に地域共通クーポンの配布を受けたが、1000円単位の紙クーポンには、クーポンの利用エリアとして、福島県のほか、隣接する宮城県、山形県、新潟県、茨城県、栃木県、群馬県が記載され、有効期間として、10月2日~10月4日と印字されていた。
福島県いわき市では、市内タクシー9社が地域共通クーポンの取り扱いを登録しているが、旅館のフロントで話を聞くと、地域共通クーポンの利用できる施設として、飲食店や土産物店、さらにはコンビニ店などを紹介されたが、タクシーの名前は出なかった。
9月29日現在で、全国のタクシー2116事業者(法人および個人)が地域共通クーポン取り扱いのための登録をしており、利用促進のためにも、地域共通クーポンを配布する地元の宿泊施設などと連携して、タクシーでも地域共通クーポンが利用できることをフロントなどで告知してもらうことのほか、チラシの配置やポスターの貼付などの取り組みが必要だ。
次回Taxi Japan 377号 をお楽しみに!
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