論風一陣 ムダな杓子定規の前例主義をブッ飛ばせ(Taxi Japan 384号より)

1475

タクシー関係有志で組織する、チームネクストの貞包健一代表幹事(福岡県北九州市・三ヶ森タクシー社長)は1月27日に開催した、チームネクストの「リモート・セミナー2020新春」の中でタクシー事業に関する7項目の政策提言を行った。

貞包氏は、「タクシーの売上は、コロナ禍が収束しても元には戻らないと思っている。コロナ禍前から2割減、8割の売り上げでどうやったら生き延びていけるのか」などと前置きした上で、次の7項目を提言した。

1.譲渡譲受申請の簡素化・迅速化

2.運行管理業務の共同運営またはアウトソーシング化

3.運行管理業務のIT化(始業・終 業点呼から常時監視へ)

4.副業運転手(サブジョブ・ドライバー)の活用

5.ジャンボタクシーの営業区域拡大(または除外)

6.ダイナミックプライシングの導入

7.救援事業の対象緩和および明確化  

TOPページはこちら

出席者からは、これら7項目の貞包代表幹事による政策提言に対して異論が出ることなく、支持が表明された。今後、チームネクストとして、さらに政策提言内容について集約し、関係当局に提出していくことになった。  

貞包代表幹事は、「コロナ禍で交通事業者は大変な打撃を受けている。この状況下で事業継続のためには、抜本的な生産性向上が必要で、その際に障害となる規制について検討」するように求めている。これまで、国土交通省を始めとした日本の行政機関は、有力政治家や官邸の意を受けた内閣府などからの指摘を抜きに、こうした民からの政策提言に耳を傾けることはまずしてこなかった、と筆者は考える。そのことを既成の前例主義に凝り固まった事なかれ主義によるものだとか、第二次世界大戦の敗戦後も途切れず営々と100年を超えて継続している官僚システムの長期にわたる悪弊だとか、をあげつらい非難してもむなしい限り。未曽有のコロナ禍において事業継続の危機が迫っている中で経営上の無駄な労力と時間、費用を削減し、少しでも売上回復を図り事業存続の道を探ろうとする中小タクシー事業者の切実な声を国土交通省が平時の時と同様におざなりにしてはならない。  

もちろん改善されるべきは、これら7項目はほんの一例といってよく、類似内容は山積しているはずだ。国交省は、行政裁量権の範疇ですみやかに実施できるものから実行し、民の苦悩に沿って国民の奉仕者であり公共の利益を追求する国家公務員の本分たる誠意を示してもらいたい。国交省は、杓子定規で前例主義を抜本的に見直し、行政裁量による通達行政一辺倒の現行のあり方を軌道修正されんことを願ってやまない。

<髙橋 正信>

TOPページはこちら


次回Taxi Japan 385号 をお楽しみに!

Taxi Japan公式サイトバナー

Taxi Japan最新号は公式サイトでご覧いただけます。

日本タクシー新聞社の発行する、タクシー専門情報誌「タクシージャパン」は毎月10・25日発行。業界の人が本当に求めている価値ある情報をお届けするおもしろくてちょっとユニークな専門紙です。