論風一陣 川鍋会長欠席の全タク連コロナ禍総会!(Taxi Japan 414号より)

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全国ハイヤーb・タクシー連合会(川鍋一朗会長)は6月27日、都内千代田区大手町の「経団連会館」で第115回通常総会を開催した。冒頭、神谷俊広理事長から川鍋会長の同居家族が新型コロナウイルスの陽性者となり、川鍋会長が濃厚接触者として外出できずに欠席せざるを得なくなったなどと報告、これまでに例をみない会長不在の通常総会となった。

2年半に及び社会経済を閉塞状況に陥れてきた新型コロナ禍にタクシー業界も大きな打撃を受けてきたが、ようやく政府もアフターコロナを見据えた政策に舵を切って人流が戻りつつある中で、タクシー事業のこれからを占い、展望する通常総会になるはずだった。しかし、川鍋会長の欠席は、いまだ新型コロナ禍が収束していないことを図らずも思い知らされる次第となった。

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欠席した川鍋会長の指名により総会議長を川野繁副会長が務め、スムースに議事を運営し、滞りなく上程議案すべてを満場一致で承認して円滑に終了した。その意味では、川鍋会長欠席でも支障なく議事運営が進んだといえる。しかし、当日の総会では、川鍋会長の所信表明や全国の会員事業者向けコメントも無く、今秋の事業者大会も中止が決まったことから、多くの会員事業者にとってタクシー業界トップの所信を聞く機会が年内は無いことになってしまったのも異例の事態と言えよう。

川鍋氏は、5年前に富田昌孝会長から禅譲されて全タク連会長に就任した。その就任あいさつで、「自動運転が到来しようとしている中で、人が運転する価値を高めていく、進化するタクシーとして、運賃、車、乗務員の3つを軸に進化させていく」と宣言している。その後も川鍋会長はライドシェア阻止とともに「進化するタクシー」を標榜し続けてきた。

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川鍋会長の「進化するタクシー」とはなんぞや?

まず、進化とは、「進歩し、発展すること」(広辞苑)とある。川鍋会長のいう「進化したタクシー」とは、「タクシーが進歩して、より高度化し、より優れたものになる」ことを意味しているのであろう。その一方で、川鍋会長は、在任5年間の半分である2年半が新型コロナ禍に見舞われた期間となっている。アフターコロナを見据えて「進化するタクシー」をどのように具現化していくか、正念場を迎えていくことになるはずだ。今次通常総会は、タクシー業界トップの「進化するタクシー」の近未来像を知る絶好の機会であったことから、川鍋会長の欠席は残念であった。川鍋会長には、全国のタクシー事業をこれからの1年どのように進歩、発展させていこうとしているのか、機会を見て明らかにしてもらいたい。

(高橋正信)
 

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次回Taxi Japan 415号 をお楽しみに!

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