論風一陣 川鍋会長がライドシェア解禁論を誘引!(Taxi Japan 441号より)

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ライドシェア解禁論議がこのところ連日、テレビや新聞などの一般マスコミに加え、ネット番組やSNSなどの様々なメディアにおいて燎原の火のごとく広がり、話題沸騰であたかも解禁前夜かの様相を呈している。

きっかけは、自民党の菅義偉・前内閣総理大臣(衆院議員)がライドシェア解禁について、「色々な(自民)党内の意見があるが、これだけ人手不足になって来たら、そうした方向も必要かなと思う」などと講演で発言し、ライドシェア解禁に向けた自民党内での論議をスタートさせたい意向を表明したことに端を発している。タクシー業界では、深刻な乗務員不足による供給体制の不備が各地で顕在化しており、改善の糸口が見えない状況が菅・前総理の発言に結び付いたものといえる。

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しかし、菅・前総理の発言の前に既にその前兆はあった。それは、全国ハイヤー・タクシー連合会の川鍋一朗会長が今年5月段階で、一種免許タクシー乗務構想の持説を独断専行という形で政官界の要路に根回しを行っていたことだ。そのことが6月1日に開催された全タク連の正副会長会議において「ライドシェアとタクシーの垣根をタクシー業界自らが低くするものだ」などと反対意見が続出する物議を醸し、業界トップ自らが一種免許でのタクシー乗務を主張していることが、公に広く知らされることになった。

それを受けて川邉健太郎・Zホールディングス会長(政府の新しい資本主義実現会議の委員)がSNSで「この夏の”移動難民“続出を爆速で少しでも減らす意味において私は『1年だけで一種免許でタクシー運転』は全然賛成」と、川鍋会長の持説に賛意を表明し、続けて「でも、それで問題なかったら、1年後はライドシェア解禁が当然だと思っています」と、当然の流れのようにライドシェア解禁を主張した。

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川鍋会長自らが持説について、「ライドシェアに道を開くリスクが高い」と6月26日の全タク連総会席上で発言。ライドシェアに道を開く持説を展開してきた川鍋会長にとって、ライドシェア解禁の世論を沈静化していく説得力は持ち得ないだろう。

川鍋会長は、日本交通ホールディングスが共同筆頭株主である配車アプリのGO株式会社の株式上場に向けて、日本交通の代表取締役から代表権のない取締役になったという。ライドシェア解禁論議の誘引や代表取締役を務める配車アプリ会社GOの株式上場のために利益相反関係となる日本交通の代表権の方を返上するなどの行為は、タクシー業界団体である全タク連の会長たる資格要件の有無にも直結する。来る27日の全タク連事業者大会席上において、全国のタクシー事業者に向けて率直な見解を開陳してもらいたい。

(高橋 正信)


次回Taxi Japan 442号 をお楽しみに!

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