論風一陣 とんでもない初夢の顛末は、願い下げ!(Taxi Japan 449号より)

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年の瀬の昨年12月26日に規制改革推進会議(議長=冨田哲郎・JR東日本会長)が規制改革推進に関する中間答申を岸田文雄・内閣総理大臣に提出した。

中間答申では、「移動の足の不足を解消」するために、①自家用自動車を用いた有償運送の制度改善②タクシー規制緩和③タクシー事業以外のものによるライドシェア事業のための法律制度についての議論Iを骨子としている。換言すれば、道路運送法78条2号と3号に基づく自家用有償旅客運送の利活用を拡大し、新制度の創設では、その管理や運用をタクシー事業者に委ねるという内容である。そしてライドシェア新法が制定されれば、タクシー事業者以外にもライドシェアの管理・運用を認めていくとしている。

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そこで3点指摘したい。

まず、道路運送法の自家用有償旅客運送の新制度創設による供給拡大策について何故、これまで認めて来なかったタクシー事業者に管理・運用を委ねるのか。それもライドシェア新法が出来るまでの限定的な便利屋のごとき扱いは首を傾けたくなる。

そして、タクシーの規制緩和を提起しているが、そのことで移動の足の不足を解消しというのなら、より供給増に資するより踏み込んだ規制緩和策を講じればよい話ではないか。あくまでもライドシェア導入ありきのイコールフッテイングの範疇だ。でなければ、タクシー事業に義務付けている二種免許を、一種免許で認めれば、乗務員の確保状況は格段に改善できるはずだ。

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さらに、そもそも政権を巻き込んだ拙速な過密スケジュールで、このライドシェア解禁旋風が突き進んでいることが疑問だ。あたかもライドシェアの解禁と実施のメド、日程が予め定められているかの如くである。

この中間答申通りにコトが運んだとすると、今年の半ばタクシー事業者が自家用有償旅客運送の実施主体として一種免許の運転者の管理をし、白ナンバー車での営業運行を開始することになる。

その中で、配車アプリを活用した記録保持を義務付けている。そしてライドシェア新法が制定された段階でタクシー事業者以外にもライドシェアを開放するという成り行きが想定される。

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しかし、その頃には日本型ライドシェアへの対応において、国内でタクシー事業の配車アプリで圧倒的なシェアを占めるGOの独り舞台となり、UberやDiDi、その他の配車アプリ会社にはシェア拡大をする隙間がないといえまいか。拙速なスピード感まで、株式上場を計画しているGOのタイミングに合わせているかのようだ。

今年の元旦は能登半島地震、翌2日が日航機と海保機の衝突炎上事故とこの1年に暗雲を予感させる中で、こんなとんでもない初夢の顛末は、願い下げである。

(高橋 正信)


次回Taxi Japan 450号 をお楽しみに!

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