論風一陣 アプリ問題へ拱手傍観の全タク連に喝!(Taxi Japan 486号より)

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タクシー配車アプリ最大手のGO(中島宏社長、都内港区)は8月4日、東京都特別区・武三地区において、GOアプリでの配車後における車内での現金決済の場合に「現金決済維持のコストを賄うこと」を理由に取り扱い手数料100円の課金を開始した。この手数料はGO Payでの支払いには課金されないという。

既にGOでは、道路運送法に基づく運賃・料金と無関係な独自の手数料として、アプリ手配料100円を収受しており、特別区・武三地区でGOで配車して現金決済だと計200円をタクシーの運賃料金とは別に利用者はGOに支払うことになる。GOPayでの支払いであれば課金しないのは、決済手段の囲い込みというGOの企業戦略のためだろう。

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さらにGOは、この他にもAI予約手配料、優先パス手配料、こだわり条件指定料、空港定額手配料などを独自に収受している。もちろん配車提携先のタクシー事業者からは、一定の配車手数料を徴収している。

これまでタクシー車内では、現金での運賃決済が基本だったのが、クレジットカード等のキャッシュレス化が進展してきての今日である。現金決済を維持するコストを理由に手数料を徴収することはGO側の企業事情であり、利用者側からみれば、流しタクシーでの現金決済であれば手数料は必要ないため、その維持にかかるコストが新たに発生する、という理屈が通らないのは明らかだ。GOの常識は、利用者にとっての非常識という傲慢不遜の次第である。

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公正取引委員会が4月に「タクシー等配車アプリに関する実態調査」の結果を公表しているが、独占禁止法に抵触する優越的地位の濫用になり得る5項目を提言し、その一つに、「優先配車サービスの手数料」を明記している。本紙では、「提言している内容をいずれも惹起しているのは、全国のタクシー事業者の約5割が加盟しているタクシー配車アプリ最大手のGO」と、既に報じてきている。優先的地位の濫用が問題視されている中でのGOのやりたい放題をいつまで放置しておくのであろうか。

アプリ配車に関する利用者向け手配料などをアプリ運営事業者が自由に設定できる現状は、タクシー利用者からみ認可制に基づく運賃・料金との区別が難しいとの判断などから、国土交通省では道路運送法上の運賃・料金との整合性を含めた検討が必要との方向性も示している。配車アプリ会社が利用者から収受する手配料・手数料などの各種料金については、国交省を交えたタクシー業界側との丁寧な意見交換が必要不可欠なのは、既に自明のことだ。いつまで川鍋一朗会長に忖度して全タク連として取り組むべき配車アプリの手数料問題での協議、検討を拱手傍観で放置しているのか。全タク連の存在意義が問われている。

(高橋 正信)


次回Taxi Japan 487号 をお楽しみに!

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