政府は、このほど開いた閣議で、観光立国推進基本法に基づく「観光立国推進基本計画」を決定した。2030年に訪日外国人旅行者数6000万人を目標とし、国内での消費額を15兆円と見込んでいる。
2025年の訪日外国人数は、4268万3600人で、年間4200万人を突破し過去最多を記録しており、5年後に6000万人の大台目標を設定。中国政府による訪日自粛要請による中国からの旅行者数の減少については、昨年12月の実績を見ても韓国、台湾、マレーシア、タイ、米国、カナダ、豪州の旅行者数が増加し、中国からの減少分をカバーして、全体として3.7%増となり、過去最高を記録。懸念すべきインバウンド減は回避されている。
同基本計画の中では、「地方誘客の推進を通じたオーバーツーリズム対策の強化や「旅行需要の平準化などによる国内交流拡大」、さらに「地域への戦略的な訪日プロモーションの実施」などを盛り込みながら、「地方誘客促進」を推進することを明記しており、少子高齢化による人口減少と若者の流出で、地域経済の低迷が懸念される地方におけるタクシー事業の活性化に結び付いていくことを期待したい。
タクシー業界においてもインバウンド需要の高まりに対応する形で、外資系のタクシー配車アプリのDiDiモビリティージャパンが既に国内配車アプリのS.RIDEと訪日外国人のタクシー配車業務で連携しているほか、このほど世界70カ国で配車アプリ事業を展開する世界最大手のUberも、S.RIDEとのインバウンド顧客での配車連携を発表した。これらは、訪日外国人のタクシー配車需要の高まりに対応して配車不能を回避するための連携で、さらに目標6000万人は過去最高の昨年実績を40%強も上回る数値で、今後も膨れ上がるインバウンドにおける移動の足の確保に対して、待ったなしで対処したものと言えよう。
同時に、都内や一部地方都市にインバウンドが集中し、オーバーツーリズムの傾向を強めている一方で、ほとんど外国人旅行者の姿を見かけない地域もあり、同基本計画では「旅行需要の平準化による地方誘客」の促進を強調、さらに「地方部への訪問意欲の高いリピーターや、地方部における延べ宿泊者数の目標やオーバーツーリズムの未然防止・抑制に関する目標」など、新たに数値目標を定めて取り組むことにしている。
これに呼応して、全国ハイヤー・タクシー連合会(川鍋一朗会長)としては、インバウンドの一部都市部のオーバーツーリズムを抑制しながら、地方都市にインバウンドを振り向けるなど、タクシー需要の平準化対策、地方のタクシー事業再生への具体的なプロモーションに取り組み、政府の地方創生策に足並みを揃えたタクシー事業の地方再生を図る取り組みを求めたい。
(高橋 正信)
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