論風一陣 新型コロナ対策で求められる共助精神!(Taxi Japan 383号より)

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緊急事態宣言が11の都府県に対して2月7日までの期間で再発出された。その中で1月18日から通常国会が開催され、新型コロナ対策を中心に与野党間で論戦が繰り広げられている。さらに政府は1月22日、2月末で期限を迎える雇用調整助成金の特例措置を、緊急事態宣言が解除された月の翌月末まで延長する方針を表明し、これにより3月末までは特例措置が全国で延長されることになった。

タクシー業界では、昨年10月までは一進一退はありながらも営収の回復傾向を見せていたものの、11月以降の新型コロナウイルス感染拡大の第3波に伴って営収の低迷傾向が顕著となっていた。そうした中で、首都圏の1都3県知事の要請を受けた政府は、1月8日から2月7日までの期間で2回目となる緊急事態宣言を発出することになったが、既にこの段階で東京都特別区・武三交通圏においては複数社がタクシー事業に見切りをつけて売却、撤退する動きが顕在化。コロナ禍の収束に見通しが立たない状況が続くことになれば、さらに多くのタクシー会社が事業撤退することになりかねない瀬戸際に差し掛かっている。

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本欄では、1回目の緊急事態宣言の最終日に当たる昨年5月25日付け368号で、「宣言解除後の共倒れ防止に創意工夫を!」の見出しで、「独禁法の縛りはあるが、タクシー事業を健全に残していくためには需要回復の度合いに応じた自主的な供給体制など、共倒れ防止への創意工夫が必須だ」と問題提起した。

さらに7月31日付け372号では、「回復しない需要へ暫定的供給削減策を!」の見出しで、「実働率を下げた結果、実働車当たりの営収が回復している。これらの数値を見れば、需要動向に応じた供給調整措置は不可欠な対応策」などとして、具体的な輸送データをもとにした供給削減策を提案している。

ところが今回の緊急事態宣言下では、業界に大きな影響力のある東京大手四社内でもおおむね50%の計画休車に取り組むところがある一方で、エッセンシャルサービスの維持をキャッチフレーズにフル稼働を目指すところとまちまちだ。準大手や中小事業者も、それぞれが各社各様に判断していて、業界としての意思疎通と共通認識が皆無な実態である。

菅義偉首相が「自助、共助、公助」の精神を強調しているが、既にタクシー事業者の自助努力は限界となっており、政府による本格的な公助も現状ではアテにならない。そこでこの難局を乗り越えるために必要不可欠なのは、共助といえまいか。つまり需要が落ち込んでいる状況下における雇用・供給体制の効率的なあり方、乗務員の勤務時間の変更及び乗務員の年齢別の勤務割りなどだ。タクシー業界自からが全体の効率化を図る意味での共助精神の発露が見当たらないのが実情である。タクシー業界として、業界は運命共同体という共通認識の下で、コロナ禍を乗り越えて行くためのタクシー事業の生き残り策を打ち出してもらいたい。

<髙橋 正信>

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次回Taxi Japan 384号 をお楽しみに!

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