論風一陣 再生請負人・両備Hの捲土重来を期待!(Taxi Japan 386号より)

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山を拠点に、交通・運輸事業を中心とした積極的な事業展開で知られている両備ホールディングス(松田敏之社長、岡山県岡山市)が、都内のグループ傘下ハイヤー・タクシー会社2社を東京大手の日本交通に事業譲渡し、東京におけるハイヤー・タクシー事業から撤退することになった。  

1社は、ハロー・トーキョー(132台)。ハロー・トーキョーは、タクシーの需給調整規制緩和後に都内大手の国際自動車の乗務員人が創業した新規参入会社だったが、急速な事業拡大と過大な投資がたたって経営に行き詰まり、2008(平成)年に民事再生により債務整理をした後に両備グループ傘下となった。  

もう1社は、航空大手の全日空グループのパイロットや客室乗務員などの送迎を主に担っているハイヤー専業のイースタンエアポートモータース(都内大田区に台)。イースタンエアポートモータースは全日空が%の出資をしていたハイヤー会社だったが、両備グループが岡山地区における全日空総代理店だった関係などから、2011(平成)年に事業を引き継いだ。  

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新型コロナ禍の中、両備グループが経営に携わってハロー・トーキョーは年、イースタンエアポートモータースは年。両備グループはこれまで、全国で経営不振の交通運輸事業を傘下に収めて再生してきた実績がある。猫の駅長「たま」をキャラクターに、廃止が検討されていた和歌山のローカル線(南海電鉄貴志川線)を、和歌山電鐵として再生した際には大きな話題を呼んだ。ことほど左様に、「事業再生請負人」の異名を取るなどして事業を拡張し、グループの総売上1500億円を超える一大企業群を築いてきた。その両備が、満を持して進出した首都・東京のハイヤー・タクシー事業から、 年一区切りとして撤退することになった。新型コロナ禍による需要激減での経営収支の悪化が大きな理由だ。

 東京都特別区・武三地区では、コロナ禍以前、タクシーの実働日車営収が平均5万円を超える日本一のタクシーマ ーケットである。高営収に支えられて経営収支も健全であるようにみられるが、その実態は、乗務員採用経費や高い賃率維持などの労務管理経費、その他の経営の維持管理コストも高水準に固定化していて、経営収支を圧迫してきたのはあまり知られていない。

ハロー・トーキョーを傘下に収めた直後、両備ホールディングスの現社長 で、当時は専務だった松田敏之氏は、「東京では当面、400台規模に持っ ていきたい」と語っていた。新型コロ ナ禍は、経営的打撃を交通運輸事業者に与えているが、両備ホールディング スの今回の事業譲渡は一時的撤退とみて、ぜひとも捲土重来を期してもらい。

(高橋 正信)

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次回Taxi Japan 387号 をお楽しみに!

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