タク車両で飲食品の有償貨物運送 旅客需要激減で国交省が特例許可 (Taxi Japan 366号より)

1349

タクシーデリバリー

国土交通省は4月21日、自動車局の旅客課と貨物課の連名で「新型コロナウイルス感染拡大の影響を踏まえたタクシー事業者による有償貨物運送について」と題した通達を出し、道路運送法第78条(有償運送)の第3号「公共の福祉を確保するためやむを得ない場合において、国土交通大臣の許可を受けて地域又は期間を限定して運送の用に供するとき」に基づき、タクシー事業者にも特例的な許可により有償による貨物運送を認める。期間は5月13日までだが、「社会・経済情勢等を踏まえ、期間の延長もあり得る」ともしている。

タクシー需要が激減する中で、地方を中心に救援事業の規定を活用して「タクデリ」(宮城県仙台市)、「タクシー・イーツ」(熊本県人吉市)などとして、買い物代行による飲食品の運送を行うケースが増えているが、タクシー事業者への有償貨物運送の特例許可でこうした動きはさらに広がることになりそうだ。

タクシーデリバリーイメージ

5月13 日までだが延長も


通達で、国交省は「タクシー事業者は地域公共交通として重要な役割を担うが、新型コロナウイルス感染拡大防止のための外出自粛要請等に伴い旅客輸送需要が激減し、経営維持が困難な状況にある」と指摘したうえで「店内での営業の自粛が行われている飲食店等においては、飲料・食料等の配送に係るニーズが増加している」として、タクシー事業者にも特例的な許可により飲食品などの有償貨物運送を認めることにした。期間は5月13日までだが、延長する可能性もある。

タクシー事業者による有償貨物運送が特例的に認められる対象地域は、緊急事態宣言が出された全国47都道府県で、旅客需要減少下においても従業員の雇用の維持に努力し事業継続に取り組んでいること、体温測定を含む点呼など、乗務前の運転手の健康管理を適切に行っていると認められること、の2つが条件で、管轄する運輸支局などに提出する許可申請書に「旅客輸送の需要減少を証する書類」と「従業員の雇用継続を証する書類」(宣誓書)を添付する。

また、許可を受けてタクシー車両で飲食品などの貨物を有償で運ぶ際には、①運送する貨物の数量はトランク内に収容可能な範囲内とし、積載場所はトランク内に限る、②飲食品などの貨物運送中は車体前面に「貨物」と表示した表示板を掲示する、③旅客と貨物を同時に運送することはできないなどとしている。また、飲食品の運送委託料は、飲食店との間で個別に決めることになる。

TOPページはこちら

赤羽国交大臣が会見で言及


赤羽一嘉国交大臣は4月21日の記者会見で、タクシーによる貨物運送に関する特例的な措置に言及して「現在、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、飲食業の店内での営業自粛が行われていることに関して、飲料・食料等の配送に係るニーズが増加し、こうしたことに対しタクシーのリソースを活用できないかとの御提案があったところだ」としながら「国交通として検討した結果、道路運送法第78条第3号に基づき、緊急事態宣言期間に調整期間を加えた5月13日まで、その安全管理能力等も踏まえ、タクシー事業者が国交省の許可を受けた上で、有償で貨物運送することを特例的に認めることにした」と説明。

TOPページはこちら


次回Taxi Japan 367号 をお楽しみに!

Taxi Japan公式サイトバナー

Taxi Japan最新号は公式サイトでご覧いただけます。

日本タクシー新聞社の発行する、タクシー専門情報誌「タクシージャパン」は毎月10・25日発行。業界の人が本当に求めている価値ある情報をお届けするおもしろくてちょっとユニークな専門紙です。