巻頭特集 タクシー事業のこれからを考える 公共性損なうと国際自動車が提起(Taxi Japan 419号より)

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東京大手の国際自動車(km、西川洋志社長、都内港区)は9月22日、都内港区の「km赤坂ビルANNEXII」で役員人事に関する報告会を開催し、西川洋志代表取締役社長が10月1日付で代表取締役会長となり、新しい代表取締役社長には同日付で、三井住友銀行出身でSMBC日興証券副社長、その後は人材派遣大手のパソナ副会長などを歴任した社外取締役の石井仁氏(63歳)が就任すると発表した。
 
その後、西川社長と松本良一取締役事業本部長(10月1日付で常務取締役事業本部長に就任)が記者会見を行い、国内大手配車アプリ会社(タクシー配車アプリプラットフォーマー)が赤字基調の経営状況から脱却して収益構造の確保を目指す中で検討が進められている配車料金などのアプリ配車利用者に対する独自課金の新設に対し、西川社長や松本取締役は「タクシーの公共性を損なう可能性が高く、タクシー業界として反対すべきだ」とする認識を示す一方で、「基本は、我々タクシー事業者がコストセンター(コストが掛かる一方で収益を生み出すことは無いものの、結果として製品やサービスの品質を保ってくれる部門)である配車アプリプラットフォーマーを守りながら共存していく必要がある」などとする考え方を示し、タクシー配車アプリプラットフォーマーの事業存続については、タクシー事業者(業界)自らが配車手数料などでの形で応分のコスト負担をしてその責任を担うべきとの考えを示した。
 
アプリ配車手数料の原資としては迎車料金から充当すべきとしながら、国際自動車としては、今回の東京都特別区・武三地区における運賃改定において迎車料金を1回500円(現行は420円)で届け出る方向だとした。
 
タクシー事業における配車アプリプラットフォーマーへの対応と位置付けに対して、国際自動車が一石を投じた波紋は大きく拡がり、タクシー業界内での真摯な論議を呼ぶことになりそうだ。
〈本紙編集長=熊澤義一〉
 

国際自動車が配車アプリで会見

東京大手の国際自動車の西川洋志社長と松本良一取締役事業本部長は9月22日、都内港区の「km赤坂ビルANNEXII」で開いた、社長交代などの10月1日付役員人事に関する報告会の後、記者会見を開き、国内大手配車アプリ会社(タクシー配車アプリプラットフォーマー)が赤字基調の経営状況からの脱却と収益構造の確保を目指して検討が進められている配車料金などのアプリ配車利用者に対する独自課金の新設への見解など、配車アプリを巡る現状と課題に対する国際自動車としての認識、および対応についての方向性を説明した。
 
 
 
冒頭、事業本部担当の松本取締役は、タクシー配車アプリについて「国際自動車では、『S.RIDE』という配車アプリプラットフォーマーを、コストセンター(コストが掛かる一方で収益を生み出すことは無いものの、結果として製品やサービスの品質を保ってくれる部門)と位置付ける中で、都内タクシー5社(国際自動車、大和自動車交通、グリーンキャブ、チェッカーキャブ、寿交通)で立ち上げた経緯も含めて、(タクシー配車アプリプラットフォーマーとその関係は)本来どうあるべきか、についてまとめた」としながら、「我々が『S.RIDE』を作ったのは、タクシー会社がそれぞれ1社、1社でタクシー配車アプリを作って行くのは非常にコストが掛かり、現実的では無いと判断したからだ。(タクシー配車アプリは)コストセンターだという意味合いで『S.RIDE』を立ち上げている。」として、「コストセンターとして立ち上がった『S.RIDE』が、プロフィットセンター(収益が計上できる部門)への転換を図って行けば、当然に我々タクシー事業者が負担するコストは下がって来ることから、『S.RIDE』が立ち上がってからの2年余りの間、広告事業に取り組んだり、出資を募ったりしながら、企業価値を上げて行く努力をしてきたものの、(赤字基調の)経営状況は良くなって来ないという状況だ」などと説明。
 

1配車30〜50円では赤字に

その上で、松本取締役は「その主な要因は、配車手数料が低いということにある。タクシー配車手数料の相場観から言うと、1配車当たり30〜50円ぐらいだろう」とした一方で、「国際自動車では、自社専用タクシー乗り場や自社タクシー無線を運用しているが、お客様との接点としてこれらに掛ける費用としては、専用タクシー乗り場が乗車1回当たり150〜400円ほど、コールセンターを含む無線配車にも1回当たり200円を超えるようなコストが掛かっている。もともと、それぐらいのコストが掛かるという世界観だ。アプリ配車については、人件費は掛からないものの、大きな開発コストが掛かり、最初に配車手数料1回30円などと聞いた時には『そんなに安価でいいのか』というぐらいの感覚を持ったところで、『それでは(アプリ配車事業の)収支は合わないだろう』と考えた。しかし、当時は(東京都特別区・武三地区の)運賃改定は行われておらず、運賃原価にも配車手数料は含まれていなかったのではないか。そこで、タクシー事業者として出せるギリギリの配車手数料として30〜50円という金額が出て来て、そうした中でスタートしたのだろうとみている。つまり、運賃改定前のタクシー事業者としては(コストに見合った)配車手数料を払えるような経営環境には無かったので、当初の1回当たり30〜50円という金額のままで推移して来たのだろうと思っている」などとする見方を示した。

タク配車PFの独自料金に反対

松本取締役は「しかし、そうなると配車プラットフォーマーの経営としては赤字基調のままなので、これを黒字に転換するために、『S.RIDE』でも一部で取り組んでいることだが、タクシー配車アプリプラットフォーマーが旅行業の名の下に『予約料金』などと称してタクシーのお客様から直接に料金を収受している。そうしたものに対して、国際自動車としては反対の姿勢だったが、当時は厳しい経営状況の中で配車手数料を上げて行くことも出来ず、一部の限られた『予約料金』などについては止むを得ず容認してきたという経緯がある」などとした。
 
続けて、「ここに来て、(東京都特別区・武三地区の)運賃改定をしていただけるという流れになった時に、国際自動車としては『本来の形に戻すべきではないか』という考えになった。つまり、( タクシー事業者にとってのコストセンターである)タクシー配車アプリプラットフォーマーの経営が成り立って行くような配車手数料の構造が必要だろうということだ。そうしなければ、配車アプリプラットフォーマーは自らの経営が成り立つように、タクシーのお客様から直接に配車手数料などを徴収することになってしまうからだ」などとし、さらに「タクシー事業者の立場としては、タクシー運賃は、道路運送法による認可・届出が必要なものであり、15年ぶりとなる今回の東京都特別区・武三地区のタクシー運賃改定では、消費者委員会、さらには物価問題に関する関係閣僚会議(内閣官房長官が主宰)の審議など様々な手順を踏まなければならず、それだけ公共性が高いのがタクシーの運賃・料金だ。そうしたところに、(旅行業者としてのタクシー配車アプリプラットフォーマーが自由に配車料金などを設定して、タクシー利用者から徴収することは)お客様は旅行業者と契約しているという認識は無く、タクシーの運賃・料金に(配車料金などを)簡単に上乗せできるような体制を、タクシー事業者して簡単に許して良いのか、ということだ。そこで、『S.RIDE』内では、そういう体制を絶対に認めてはいけない、その代わりに必要な配車手数料については払っていくという考え方について話し合いをしているところだ」などと説明した。

 

迎車料金は500円で届け出へ

その上で、松本取締役は「(タクシー配車アプリプラットフォーマーによる旅行業者としての配車料金などの設定と利用者からの直接徴収は)タクシーの公共性を損なう可能性が高く、タクシー業界として反対すべきだ」と強調。
一方で、「ただし、(赤字基調の経営が続き)タクシー配車アプリプラットフォーマーを追い込んでいるのは、低い配車手数料しか払えないというタクシー事業者側の経営環境だったが、それも運賃改定が実現する見通しとなった。タクシー事業者のコストセンターである配車アプリプラットフォーマーの経営についてタクシー事業者も責任を持たないと、コストセンターが潰れてしまうことになる。コストセンターが潰れてしまうと、結局は自分たちに跳ね返って来て、自分たち自身で(配車アプリ事業を)やることになり、結果としてお客様にとっても(運賃原価上の)コストが上がってしまうことになる」としたほか、「本来は迎車料金の中で、配車アプリプラットフォーマーへの配車手数料をしっかり賄うべきであって、その部分の原価が高くなるのであれば、迎車料金の金額を上げるしかない。そういう部分を、業界の中で確認する必要性があるのではないか」と指摘して、国際自動車としては、今回の東京都特別区・武三地区における運賃改定において迎車料金を1回500円(現行は420円)で届け出る方向だとした。

全タク連や東タク協でも論議を

松本取締役は「タクシー利用がアプリ配車中心になった時に、旅行業者としての配車アプリプラットフォーマーが自由に配車料金などを設定して利用者から直接徴収するようになったら、そうした暴走を止められるのは我々タクシー事業者だけだと思っている。仮に、現金決済時に、高速代のように配車アプリプラットフォーマーが自由に設定した配車料金を我々タクシー事業者が代行してお客様から収受することになれば、我々タクシー会社の領収書に配車料金分が合算されることになり、お客様に誤解を与えることにもなりかねない」などと指摘しながら、「こうした(タクシー配車アプリプラットフォーマーに関する)問題は、全タク連や東タク協の執行部で論議してもらいたいが、そうなっていない」ことも指摘した。

配車PFをタク事業者が守る

また、西川社長は「基本は、我々タクシー事業者がコストセンターである配車アプリプラットフォーマーを守って行かなくてはならない、ということだ。配車アプリプラットフォーマーを守りながら共存していく。国際自動車にも『kmタクシーアプリ』という自社配車アプリがあったが、あまりにもコストが掛かり過ぎるため、ソニーと一緒にタクシー5社で『S.RIDE』を立ち上げることになった。後戻りは出来ない」とし、自社アプリに関しては「配車アプリプラットフォーマーに追い付いていくだけの進化をさせなければならないが、それには莫大なコストが掛かる。そうしたことを単独でやって行きたくはないから、『S.RIDE』に参加することにした。だから我々は『S.RIDE』を守っていかなければならない。配車アプリプラットフォーマーと我々タクシー事業者が共存していくということを前提に考える、それが国際自動車の立場だ」としたほか、「先進的な取り組みをしているソニーが『S.RIDE』に参画してくれたことは有難いと思っているし、我々は『S.RIDE』を信頼して今後も一緒に前に進んで行こうと考えている」などとする認識を示した。

業界内での論議を呼ぶことに

配車アプリプラットフォーマーが旅行業法に基づく旅行業者として、タクシー利用者から直接、配車料金などを徴収すると、利用者がアプリ配車で支払う金額が、旅行業法に基づく配車料金などと道路運送法に基づく認可・届出運賃の二本立ての合算額となる。国際自動車では、これまでタクシー事業者は、利用者から道路運送法に基づく認可・届出運賃を収受してきたが、これにタクシー配車アプリプラットフォーマーが自由に設定できる配車料金などが上乗せされることに対して「公共交通を担うタクシー事業者としては、許してはいけないのではないか」とする認識を示す一方で、タクシー事業者のコストセンター(コストが掛かる一方で収益を生み出すことは無いものの、結果として製品やサービスの品質を保ってくれる部門)として位置付けるタクシー配車アプリプラットフォーマーの事業存続については、タクシー事業者(業界)自らが配車手数料などでの形で応分のコスト負担をしてその責任を担うべきとの考えを示した格好だ。配車アプリプラットフォーマーがタクシー事業の価格決定権に関与を強めることへの警戒感は強い。
 
送客効果の高いタクシー配車アプリの普及・拡大に伴い、タクシー事業における配車アプリプラットフォーマーの存在感は急速に高まっている。さらに、事前確定型変動運賃や相乗り運賃などタクシーサービスの進化が積極的に進められる中で、配車アプリを無しにタクシー事業の将来は見通せない状況ともなっている。
 
タクシー事業におけるタクシー配車アプリプラットフォーマーの存在感が高まるにつれ、「乗務員が配車アプリに頼る傾向が強まるほど、タクシー配車アプリプラットフォーマーによる配車手数料の設定などで、自社のタクシー事業経営の首根っこを押さえられかねない」との懸念も強まっている。

 
タクシー業界として、タクシー配車アプリプラットフォーマーへの対応をどう考え、位置付けるのか、さらに、利用者からみたタクシーの利用料金に、旅行業法を根拠に旅行業者であるタクシー配車アプリプラットフォーマーが自由に設定できる手配旅行の料金(アプリ配車の配車料金など)が上乗せされ、道路運送法による認可・届出の対象として厳格に規制されているタクシーの運賃・料金と併用される状況をどう考え、整理していくのか、タクシー事業における配車アプリプラットフォーマーへの対応と位置付けに対して、国際自動車が一石を投じた波紋は大きく拡がり、タクシー業界内での真摯な論議を呼ぶことになりそうだ。

旅行業法と道路運送法の関係性

タクシー業界として、タクシー配車アプリプラットフォーマーへの対応をどう考え、位置付けるのか、さらに、利用者からみたタクシーの利用料金に、旅行業法を根拠に旅行業者であるタクシー配車アプリプラットフォーマーが自由に設定できる手配旅行の料金(アプリ配車の配車料金など)が上乗せされ、道路運送法による認可・届出の対象として厳格に規制されているタクシーの運賃・料金と併用される状況をどう考え、整理していくのか、タクシー事業における配車アプリプラットフォーマーへの対応と位置付けに対して、国際自動車が一石を投じた波紋は大きく拡がり、タクシー業界内での真摯な論議を呼ぶことになりそうだ。旅行業法と道路運送法の関係性タクシー業界として、タクシー配車アプリプラットフォーマーへの対応をどう考え、位置付けるのか、さらに、アプリ配車事業の法制度的な根拠とされている旅行業法と道路運送違法との関係性をどう整理するのかは、かねてから懸案事項として認識されていた課題だった。そのことは、2014年2月26日に1回だけの開催で中断されてしまった国土交通省の「タクシー・スマホアプリ配車の普及方策に関する検討会」の存在からも明らかだ。
 
当時は、日本におけるタクシー配車アプリの黎明期で、イギリス発祥の外資系タクシー配車アプリ「ヘイロー」(ヘイロー・ネットワーク・ジャパン)の日本上陸がタクシー業界内で大きな話題となっていた。
 
「タクシー・スマホアプリ配車の普及方策に関する検討会」は、自動車局旅客課が事務局を務め、タクシー業界労使・個人タクシー代表と業界関係者、学識経験者、利用者代表、タクシー配車アプリ運用事業者(東タク協の「スマホdeタッくん」なども含む)、さらには旅行業法を所管する観光庁の担当者らが委員として出席して行われ、座長には山内弘隆・一橋大学商学研究科教授(当時)が就任した。
 
同検討会における検討の背景及び趣旨については、「スマートホンの急速な普及に伴って、そのアプリ機能等をタクシー配車に活用する取組が始められつつあり、タクシーサービスの高度化や需要の拡大に資する有力な手段の一つとして考えられている」としながら、「一方で、このような新しい技術を活用したタクシー利用をめぐっては、ビジネスモデルや法の適用の考え方などがこれまで十分に整理されていないなど、本格的な普及を図っていく上では、利用者が安心して利用できるようにするための環境を整備しておくことが求められているところである。このため、利用者保護や公正競争の確保の観点も含めた諸課題について検討し、考え方を整理するとともに、タクシー・スマホアプリ配車の本格的な普及に向けた具体策を取りまとめることを目的として、『タクシー・スマホアプリ配車の普及方策に関する検討会』を設置することとする」などとしていた。
 
その上で、論点・検討課題として、①利用者・タクシー事業者・アプリ運営事業者間の契約関係・責任関係とそれらを踏まえたビジネスモデルの整理、②道路運送法や旅行業法等の適用に関する考え方の整理、③利用者保護や公正競争確保の観点を踏まえた課題と対応策、④普及を促進するために官民が取り組むべき具体的方策Iなどを挙げていたが、結局、検討会は1回のみの開催で、こうした論点や検討課題が整理され、具体策としての結論が得られないまま、今日に至っている状況だ。

2014年に国交省が検討会

2014年2月26日に開かれた「タクシー・スマホアプリ配車の普及方策に関する検討会」の第1回会合では、イギリス発祥のタクシー配車アプリ「ヘイロー」の日本法人ヘイロー・ネットワーク・ジャパンの担当者が「この事業を始める際にいろいろと官庁にも相談して、旅行業の資格を取得した上で手配旅行としてやっている。観光庁からの指導を頂いた上で、指導に即した形でやっていると認識している」などと説明したが、これに、当時は、MobilityTechnologies(MoT)のタクシー配車アプリ「GO」の前身となる「全国タクシー」(日交データサービス)を運用していた東京大手・日本交通の川鍋一朗代表取締役は「旅行業法を介した場合、なぜか全く同じサービスが自由にできてしまう。これは市場の活性化などの良い面もあると思うが、この法治国家においてタクシー事業者の立場からすると、一物二価と言うか、1つのサービスが2つの法体系の下で存在してしまうと非常に混乱、やりにくい面もあるので、そこは今回、整理していただきたいと思っている」とした上で、「我々タクシー事業者としては、良いか悪いかは別として1つの法律の下で必死になって事業を行っている。努力が足りない部分は勿論あると思うが、やはり全然違うルールの中で同じサービスが出来ると、何で我々がその中でやっているのか、という問題もあるので、そこが私の中で一番の問題意識だと思っている。
ツアーバスであったように、いろいろな問題が将来起こる可能性も無きにしもあらず。そもそも論、リスク面もあるが、やっぱり1つのサービスが別々の法体系により提供される状態はまずいのかなと思い、是非、今回交通整理をしていただきたいと思っている」などと述べており、現在は配車アプリ「GO」を運用するタクシー配車アプリ大手MoTの川鍋会長も、当時からタクシーのアプリ配車事業における旅行業法と道路運送法との関係性を整理する必要性があるとの認識をしていた格好だ。

配車アプリ会社は旅行業者

タクシーの配車アプリプラットフォーマーは、法制度的には、配車アプリ利用者の委任を受けてタクシー事業者との間を媒介してタクシーの配車手配を行う手配旅行の登録旅行業者としてアプリ配車事業を実施しており、任意にタクシーのアプリ配車利用者(旅行者)に対して手数料・料金を設定することが出来る。
 
例えば、タクシー配車アプリ「GO」を運用するMoTは、東京都知事登録の第三種旅行業者であり、配車アプリ「GO」の利用者向けに利用規約に加え、旅行業約款も掲載している。S.RIDEも東京都知事登録の第三種旅行業者。一方で、外資系のUBERJapanとDiDiモビリティジャパンは、東京都知事登録の第二種旅行業者となっている。
 
旅行業には、国内旅行に加え海外旅行も対象とする第一種(登録先は観光庁長官)、国内旅行のみを対象とする第二種と第三種(登録先は、共に都道府県知事)、さらに地域限定旅行業があり、このうち第二種と第三種の主な違いは、パッケージツアーなどの募集型企画旅行の対象エリアの違い(第二種は全国、第三種は隣接市町村等に限定)で、タクシーのアプリ配車事業が対象となる国内の手配旅行に関しては、基本的に第二種と第三種の間に差異は無い。
 
JTB総合研究所では、手配旅行について「手配旅行とは、旅行業法で定められた旅行契約形態の一つ。旅行会社が旅行者の委託により、旅行者のために運送や宿泊等旅行サービスの提供を受けることができるよう手配を引き受ける委任契約のこと」などと説明している。
 

料金は自由に設定可能

また、旅行業法では、手配旅行について、第二条(定義)の三項で「旅行者のため、運送等サービスの提供を受けることについて、代理して契約を締結し、媒介をし、又は取次ぎをする行為」、四項で「運送等サービスを提供する者のため、旅行者に対する運送等サービスの提供について、代理して契約を締結し、又は媒介をする行為」と規定。さらに、第十二条(料金の掲示)において「旅行業者は、事業の開始前に、旅行者から収受する旅行業務の取扱いの料金(企画旅行に係るものを除く)を定め、これをその営業所において旅行者に見やすいように掲示しなければならない。これを変更するときも、同様とする」とし、同2で「前項の料金は、国土交通省令で定める基準に従って定められたものでなければならない」、同3で「旅行業者代理業者は、その営業所において、所属旅行業者が第一項の規定により定めた料金を旅行者に見やすいように掲示しなければならない」としている。
 
そして、旅行業法施行規則の第二十一条(掲示料金の制定基準)では「法第十二条第二項の国土交通省令で定める基準は、旅行業務の取扱いの料金が契約の種類及び内容に応じて定率、定額その他の方法により定められ、旅行者にとって明確であることとする」とされている。
 
つまり、タクシーの配車アプリプラットフォーマーが旅行業者として、アプリ配車を通じて行う手配旅行における配車料金などの料金設定は「契約の種類及び内容に応じて定率、定額その他の方法により定められ、旅行者にとって明確であること」という条件を満たせばよく、法制度的には自由に設定できることになっている。

次回Taxi Japan 420号 をお楽しみに!

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