論風一陣 アフターコロナ本番で経営再生へGO!(Taxi Japan 424号より)

1884

全国ハイヤー.タクシー連合会(川鍋一朗会長)がまとめた「新型コロナウイルス感染症の影響による営業収入の変化(10月分のサンプル調査)」では、全国の平均営業収入が2019年10月比で80%強の水準に回復している。その中で宮崎県の10月営業収入が19年10月比100%で完全回復しているのに目が止まった。さらに千葉県は100.2%と0.2%とわずかながらコロナ禍前の実績を上回った。全タク連がこの資料を作成して以来、ようやくアフターコロナの幕開けを示すような明るい数値となっている。

一方で政府は、12月9日にコロナ分科会を開催し、新型コロナの新規感染者数が増加傾向にある中でも「いまは基本的に社会を少しずつ回そうということ。感染抑制だけを目的にするという時代も過ぎた。(いままでの知見を)十分生かして自主的に努力してください」(尾身茂会長)として、昨年の年末年始とは異なり、外出自粛などの行動制限などは国民に求めず、感染対策は個人の判断にゆだねる方針を示している。訪日外国人に対する水際対策も大幅に緩和されており、円安傾向の定着を追い風としたインバウンド観光客のさらなる増加も予想される。これらは、遅まきながら政府が社会経済の活動重視に舵を切ったことによるものだ。

いよいよアフターコロナの到来である!

すでに全国の多くの地域でタクシー運賃改定の申請(要請)やその準備が進められており、11月14日に15年ぶりとなる運賃改定が実施された東京都特別区.武三地区では改定率14.24%がそのまま実増収の上昇となっている。従来の運賃改定時にあった利用者の逸走は、他の諸物価の値上がり傾向もあってか見られない。この運賃改定効果を背景に、これまでのコロナ禍で大きく傷んだタクシー経営の財務体質を改善させていかなければならない。

ただし、多くのタクシー乗務員がコロナ禍の中で離職し、全国各地で実働率が大幅に低下するという大きな傷跡を残している。需要回復と運賃改定により実働日車営収が上昇しても、実働率が低迷している現状のままでは、本格的なタクシー事業経営の再生には道半ばだ。

いずれにしても、3年に及ぶコロナ禍による社会、経済の閉塞状況の中を耐え抜いてきたタクシー業界である。アフターコロナの本番に向けては、まず、2割弱も減ってしまった乗務員の補充が喫緊の課題だ。その課題をクリアーした上で、タクシー各社の傷んだ経営の再生、リセットに務めるとともに、タクシー業界全体としても、単にコロナ禍前に戻るということではなく、新しい展望を切り拓いてもらいたい。

(高橋 正信)


次回Taxi Japan 425号 をお楽しみに!

Taxi Japan公式サイトバナー

Taxi Japan最新号は公式サイトでご覧いただけます。

日本タクシー新聞社の発行する、タクシー専門情報誌「タクシージャパン」は毎月10・25日発行。業界の人が本当に求めている価値ある情報をお届けするおもしろくてちょっとユニークな専門紙です。